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秘密だらけの僕のお嫁さんは、大陸屈指の実力を誇るドラゴンスレイヤーです  作者: 甲斐 八雲
Main Story 29

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なにかでちゃうから!

 大陸北西部・ユーファミラ王国内



 勝った。

 僅差であるがどうにか勝った。


 まさかちびっ子2人が左右に分かれて挟み込む感じで殴って来るとは思わなかった。

 子供相手にそこまで本気を出すのも卑怯かと思ったが、相手の1人は悪魔である。超ロリババアである。ならばどんなズルい方法を使用して勝ちを望んだとしても問題はない。


 ノイエを勧誘して悪魔を抑え込み、その間にコロネの尻をこれでもかとゴボウでしばいた。

 最後は『なにかでちゃうから!』と泣き叫び、コロネは物陰へとダッシュして行き戦線を離脱する。

 残りは悪魔だけだ。しかし悪魔も長い年月を生きてきた猛者である。ノイエを食べ物で買収して戦線離脱させていた。


 つまり一騎打ちである。


 頑張った。きっと……誰だろう? 三国時代の英雄ぐらいに僕らは何度も殴り合った。


 流石は三大魔女の1人だ。クソ従姉よりも手強かったが、最終的に勝ったのだ。

 相手が編み出したゴボウ3連突きに対し苦戦を強いられたが、僕は左手のゴボウを投げ捨てて佩いている剣を抜いて自動防御に徹した。ついでに相手のゴボウをささがきにして削り尽くした。


 削ったゴボウは後できんぴらごぼうにでもして美味しくいただこうかと思います!


 武器を失った悪魔は僕の投げ捨てたゴボウに飛びついたがそれが罠だった。


 実は投げ捨てたゴボウはもう限界を迎え半ばグニャグニャだったのだ!


 武器として使えないゴボウを手にした悪魔はそれでも勇敢に挑んできた。泣き叫びながら突進して来た。


 しかし僕も戦士である。情けはどこかに捨ててきた。

 これでもかと相手の尻をしばき倒して……僕は本当に僅差で勝利を手にしたのだ。


 バトルで使用したゴボウは全てきんぴらごぼうにします。ニンジンもあるので後で悪魔に作らせます。問題はノイエが野菜を食べたがらないので、ここは敗者の2人に食べさせれば良いな。


 うむ。ポーラとコロネはしばらくきんぴらごぼうを食して食物繊維をふんだんに摂取するように。以上!


「あ~……終わったか?」

「はい?」


 気づくとフランクさんが大変申し訳ない感じで僕の傍に居た。


 いや~。お恥ずかしい。とんでもない醜態をさらしてしまったな。


 とりあえずそこで尻を押さえて蹲っている馬鹿悪魔よ。あっちに逃げたコロネの衣装を良い感じにしてメイドの振りを再開しろ。ノイエはあのままで良い。変に着飾っても意味はない。ノイエはそのままでも十分に奇麗なのだから余計な装飾は彼女の美しさを損なうのです。


「で、ユーファミラ王国の国王陛下は?」


 それが来たけど僕がここでゴボウしばき合い対決をしていたから話しかけられなかった感じですよね?


「それなんだがな……」


 歯切れの悪い言葉と引き攣った笑みに僕は悟った。

 つまり彼は逃げきれなかったのであろう。


「会います? 時間を置きます?」

「時間を置くと王妃様がな……王女様も一緒になって陛下を再起不能にする可能性があるからな」


 中々バイオレンスな王妃様とその娘のようですね。でしたらこっちも色々と問題を抱えていますし、このままの流れで会ってしまいますか。


「そうして貰うと助かるのだが、先に言い訳をさせて欲しい」

「はい?」


 言い訳ですか?


「ユーファミラ王国はこんな辺鄙な場所に存在する田舎の国だ。故に言葉遣いと言うか礼儀作法とかが他の国とは違ってかなり緩くてな……暴言の類を吐くこともあるが、悪意を持っての言葉ではないと理解して欲しい。どうも昔から、特に王族は気軽に相手に話しかける癖があるんだ」

「なるほど」


 説明を聞いて理解した。


 僕の頭の中ではユーファミラ王国の王族は全員バイキングの映像に差し変わった。そう思うと凄く納得できる。


 ただバイキングって海賊じゃなかったっけ? まあ良いか。


「まあウチも普段はそこまで言葉遣いに気を付けている国ではないですしね」


 特に僕と馬鹿兄貴は気にしない。

 場所場所で真面目に立ち振る舞ったりはするけど、基本僕は口調の軽い相手の方が良い。


「そう言って貰うと助かる」


 フランクさんが安堵した。


 ただ事前にその手の説明ってしておいたほうが良かったのでは? はい? 王都について謁見の前に説明する気でいたと。あ~。まあ国によっては恥ずかしい話ですからね。


 大丈夫です。僕の知る限りこの世界でまともな王族って数少ないと理解していますから。ええ本当に。最近なんて神聖国とかいう場所でとんでもない女王陛下と行動を一緒にしたこともありますが、あれも公にできない感じでダメでした。


 最近来た手紙ですと『わたしの騎士が警戒して飲み物を口にしてくれないんです。どうしたら睡眠薬を飲ませることができますでしょうか?』といった相談でしたしね。


 うん。返事ですか? 女王として命じなさいと伝えました。

 相手の身が危ない? 相手もそれに備えて事前に解毒薬ぐらい服用して来そうだから大丈夫だと思うんです。


 問題は『相手に睡眠薬が効かなかったのでもっと強力な睡眠薬を紹介してください』と来たらどうしましょうかね? もうそれって毒ですしね?


 ポーラとコロネの準備を待ちつつ雑談を交わす。ノイエはゴーレムの頭の上に立ってある1点を眺めている。たぶんそっちの方角にたくさんドラゴンが居るのだろう。


「さてと。こっちの準備も整ったし、国王陛下とやらに会いましょうかね」


 告げて僕らは歩き出した。




「おお、フランク! 助けてくれ! マジで助けてくれ!」

「「……」」


 ユーファミラ王国の陛下の前へと来た僕らはそれを見た。


 床の上に置かれた板に縛り付けられた中年男性と、彼の足元で何やら話し合いをしている女性2人。

 鎧姿のスレンダーな女性だがどうやらあの2人が王妃様と王女様かな?


「……陛下? こちらが遠路遥々このユーファミラ王国に足を運んでくださいました、ユニバンス王国の王族。アルグスタ・フォン・ドラグナイト様です」


 まさかのスルーなの? 貴方の国王様がとんでもない状態で拘束されていますがそれをスルーしての紹介なの?


「おおぉ! こんな姿で申し訳ない。私がユーファミラ王国の国王であるヤーレンだ。よろしく頼む」


 キリっと表情を引き締めて相手が挨拶してくる。


 外見は普通だ。見た感じ年相応のオッサンだ。問題は板に縛り付けられて仰向けで放置中ってことだろう。だから僕との視線が色々と複雑である。


「始めまして陛下。自分がユニバンス王国の国王シュニットよりこの地へ派遣されたアルグスタと申します。よろしくお願い申し上げます」


 一応礼儀として挨拶はする。うん。礼儀は大切です。


「うむ。してアルグスタ殿で良いか?」

「はい」


 キリリと表情を引き締めてヤーレン国王が口を開く。


「助けてくれ。このままだと妻と娘に股間の息子を殺されてしまう」

「……」

「分かっている。呆れているのだろう? フランクもそうだ。いつも呆れて私を見捨てる。だが聞いて欲しい。最後まで聞いて欲しい」

「はぁ」


 これって最後まで聞かないとダメなヤツ?


「男であれば分かるであろう? 自分の息子が私の言うことを聞かない時があることを!」

「はぁ」

「今回もそれだ。仕方ないのだ! 私は我慢している。常に我慢している。だがどうしても駄目なのだ!」


 気づくとフランクさんが傍に居たテレサさんを部下たちと一緒に引きずって行く。両耳をガッチリと押さえ込んでこちらの会話を聞かせないようにしながらだ。


 テレサさんへの配慮は完璧だな?


「私はあのむっちりとした体が大好物なのだ!」


 拝啓。遠い大陸の東側に居る祖国の誰かへ。僕は今、大陸の北西部でとある国王陛下のとんでもない性癖暴露を聞かされています。


「あのムチムチとした体を見ていると、こう息子が活力を覚えて自分自身の何かを抑えられなくなるのだ!」


 気づくとポーラの姿をした悪魔が王妃様たちの元へ。


 そのゴボウを手渡して何をする気だ? どうして君はそこの母娘にゴボウによるゴルフのスイングを教え始める? ダメだぞ? それはダメだ。それをしたらここでひっくり返っている国王陛下の息子がフルスイングからの最長飛距離を記録してしまう。落ち着こう。話し合えばわかるはずだ。


「もう今すぐにでもあのムチムチとした体を撫で回して舐め回したいのだっ!」


 あっこれダメなヤツだ。


 まず王妃様が何度か素振りをして……国王陛下の息子にゴボウを向けた。




© 2025 甲斐八雲

 ゴボウが万能すぎて困っていますw

 そんな訳でユーファミラ王国の国王一家と合流です。

 ただ陛下の息子は遠い何処かへアルバトロスしそうですが

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― 新着の感想 ―
更新乙 令和ゴボウ合戦チ○○コ(それ以上はイケない) ゴボウは細いからまだ許される・・・許される? 栄養もあるから(震え声) 王族たるもの特殊性癖の1つや2つ無くてどうする!(暴論) むしろ腐魔…
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