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お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
中学校である

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099 ジュマルの中学校卒業である


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。まぁ、ちょっとぐらい私のおかげと言ってもいいかな?


 ジュマルの3競技制覇は広瀬家でチヤホヤされ、学校でもチヤホヤされたからには、私も受け取らないとこの騒ぎは終わりそうにない。

 さらにテレビでも、ジュマルは天才中学生と連日ワイドショーで話題だったので私がジュマルの通訳で出演したら、千年に1人の美少女とまたチヤホヤ。でも、そのキャッチコピーって前にも聞いたことがあるような……


 ちょっと天狗になりかけたけど、テレビ局が先代の美少女との対談を持ち掛けて来たので我に返った。千年に1人が2人もいたらおかしいでしょ!


 なんだかジュマルより私へのオファーが増えつつあるので、3回のインタビューだけで顔出しはやめておいた。恥ずかしいもん。ジュマルが「魚、魚、魚」と関係ないことばっかり言うし。

 そのせいで広瀬兄妹関連の話題が母親に飛び火して「美人すぎる弁護士リターン」とか言われてた。あと、イケメンIT社長とか父親も言われてた。けど、母親の鶴の一声で話題は下火になった。


「なんて言ったの?」

「アイツら肖像権の侵害してたから、訴訟起こすって言っただけよ~」

「……本当は??」

「起訴状送りつけて和解しました」

「ケンカしてるやん!?」


 ストロングスタイルの母親のおかげで平和な日常は戻ったけど、「やっぱり母親が一番怖いわ~」と思う私であったとさ。



 ジュマルの進学も決まったことだし、私も学業だけしてのんびりしていたら、最近ジュマルの様子がおかしい。部活は引退しているはずなのに、各部活に顔を出して後輩と汗を流しているのはいいのだが、妙に私との距離が近いのだ。

 登下校はピッタリくっついて歩くし、リビングでもいつも私の膝枕で寝てる。何か魚料理を作ってほしいのかと思って食べさせてみたけど、スリ寄りが激しくなっただけ。

 挙げ句の果てには自室で寝ている私の上に乗って寝ていたので、金縛りにあったかと思ったわ!


「お兄ちゃん……お兄ちゃん!!」

「ん? んん……なんや?」

「『なんや?』じゃなくて、重いのよ。なんで私の上で寝てるの?」

「なんでって……寒いから??」


 人間の上で暖を取るって猫か! 猫だった!!


「寒いなら自分の部屋のベッドで寝たらいいじゃない?」

「こっちのほうがあったかい……」

「噓つけ。そんなところで寝てたら風邪引くよ。しょうがないな~……」


 布団を被ったほうが断然暖かいのにジュマルは私の上から動こうとしないので、私は布団の中に招き入れた。ジュマルは丸まっているから何もされない。と、思う……


「昔はこんなふうに一緒に寝てたよね~」

「せやな」

「ママの布団でもね」

「せやな」

「そっち行ったら??」

「考えとく」


 母親にジュマルを押し付けようとしたけど、私のほうが居心地がいいみたい。あの夫婦はキングサイズのベッドで寝てるから、間には入りたくないか。


「それにしても、最近どうしたの? 私にべったりじゃない? なんかあった??」

「……」

「お兄ちゃん? 寝てるな……」


 せっかくだから質問してみたが、ジュマルは寝息を立ててすでに熟睡。今日のところは私も諦めて、そのまま眠りに就くのであった……



 翌日、私は珍しく寝坊して母親が起こしに来たみたいだけど、その声は悲鳴だったので跳び起きた。


「な、なに!?」

「なに!? じゃなくて、兄妹で……」

「兄妹で?? ……あっ! ないない! なにもない!!」


 母親が私を驚かそうと布団を勢いよく捲ったら、ジュマルが丸まって寝ていたから逆に驚いたっぽい。てか、私も猫と寝ているような(ぬく)もりだったから寝坊してしまったのだ。


「なんか夜中に私の上に乗って寝てたの。風邪でも引いたら困るから中に入れたんだけど……起きる気配ないな」

「よっぽどララちゃんの(そば)が安心できるんだね」

「起きろ!」


 誤解は解けたようだけど、ジュマルは全然起きないので頭を叩いて無理矢理起こす。それから母親には「一緒に寝てあげて」とお願いしてみたけど、モジモジするだけでいい返事は得られない。

 ジュマルは来年には高校生になるから、一緒に寝ると何か間違いが起こるとか思っているみたいだ。けっこうムッツリだな……そんな顔、見たくなかったわ~。


 父親もなんだか怒っていたけど、実験でその夜は母親をジュマルの部屋に送り込んでみたら、同じように丸まって寝てたとのこと。

 母親は寝不足みたいだから、間違いが起こるのを待っていたのかも? 父親も寝不足なのは、息子に嫉妬してたんだな。


 それからもジュマルは私の部屋に来たり来なかったり。母親が行ったり行かなかったりしていたら月日は流れ、ついにジュマルの卒業式となった。



「あっという間だったね……」

「ああ。でも、中身の濃い3年だったな……」


 卒業式は、OM1ウイルスのせいで卒業生と先生だけしか体育館に入れないから、両親は家でモニター越しに感慨深く見ている。私もそっち側がよかったな~。


「あっ! ララちゃん出て来た!!」

「ララ~~~!!」


 在校生代表で私だけ出席させられてるもん。理由は、これまでジュマルを支えていた功績なんだとか。先生たちも私との付き合いが長いから、満場一致で決まったんだって。


「グズッ。今年もいい祝辞だったよ~」

「ララは最高だ~~~!!」


 両親は泣きながら私のことを応援していたらしいけど、主役はジュマルたち3年生だろ……


 こうして私は帰ってから、両親に激しくチヤホヤされるのであったとさ。


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