表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
小学校である

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/130

051 続・初めてのお使いである


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。初めてのお使いは超不安。


 高級スーパーに入ったら、ジュマルにカゴを持たせて開いてる手を私が握る。これで走れないしリンゴをコロコロしないはず。私は開いてる手にスマホを握って買い物リストを見ながら歩く。


「おお~。なんか草がいっぱいやな」

「草じゃないよ。野菜。家でも食べてるでしょ」

「ああ。あの草か」

「草いうな。えっと……キャベツ買うみたい。でも、大きさが書いてないのよね~。とりあえずあっち行くよ」


 私は近くのキャベツコーナーの前で止まって値段に驚く。


「たっか……うちの近所のスーパーなら2玉買えるわよ」

「うちの近所??」

「なんでもない。4人家族だし、半玉でいいかな」


 ちょっと前世の知識が出てしまったので適当にごまかし、私は鮮度がよさそうなキャベツを見比べてジュマルの持つカゴに入れる。

 そうして次に買う物を探そうと奥に進んだら、ジュマルの足が止まった。


「にゃ~?」

「なに? にゃ~って……」

「にゃにゃにゃにゃにゃ~?」

「いや、意味わからないんだけど……魚? 魚食べたいの??」

「にゃあ~あ」


 鮮魚コーナーに入ったから、ジュマルが猫になったっぽい。ヨダレも垂らしてやがる。私の予想にウンウン頷いているから、猫語も完璧だ。


「リストにないのよね~……」

「うにゃ~あ」

「スリ寄るな~。ちょっと待って」


 ジュマルが魚を(くわ)えて逃げないうちに、私はスマホにいくら入っているか調べたら、10万円も入っていたのでスマホを落としてヒモで首を圧迫された。小1に持たせる額じゃないわ!


「もっと奥に行ったら、焼いてあるのがあるんだけど……我慢できる??」

「うにゃうにゃ」

「はぁ~……先にそれ買って出よっか?」

「うにゃ~」


 ジュマルは首を横に振っていたから待てないみたい。なので私はキャベツを元の場所に戻してから、ジュマルの手を握ってお惣菜コーナーに直行するのであった。



「どれがいい?」

「にゃ! にゃ! にゃ!!」

「そんなに食べれる?」

「にゃ~あ」

「まぁいいや。お会計行くわよ」


 とりあえずジュマルが指差した尾頭付きの魚を3パックカゴに入れたら、手を引いてレジへ。でも、忘れてた。私、携帯電話で買い物なんて初めてだった!

 ここで私にも緊張が走ったが、前の人のレジは終わってしまったからには行くしかない。


「お嬢ちゃんたちだけ? お母さんは??」

「お使い頼まれまして……」

「あら、偉いわね~」


 レジのおばちゃんは親切そうなので、それに甘えさせてもらおう!


「これで払えって言われているんです」

「電子マネー払いね。ちょっと待ってね~。あ、レジ袋は有料になっちゃうけどいる?」

「いくらですか?」

「この数なら3円のヤツがいいかな~?」

「たっか……」

「高くないよ~? みんな同じ値段よ~?」


 レジ袋有料化は知っていたが、その頃にはヨボヨボで買い物は人に任せていたから、料金を聞いてビックリだ。


「う~ん……あとでまだ買い物するんで、一番大きいヤツください。再利用します。それとお箸を一膳、おしぼりもあったらふたつください」

「しっかりしたお嬢ちゃんね~」


 しかしエコバッグなんて渡されていないので、買うしか選択肢がない。


「はい。じゃあ、ここにそのスマホを当ててくれる? 大丈夫??」

「は、はい……」


 私が不安な顔をしていたらおばちゃんは心配してくれたけど、背が足りないから背伸びしても届きそうにない。


「あはは。かわいいわ~」

「笑ってないで、おばちゃんがやってよ~」


 おばちゃんにハメられた上に笑われた私は腹が立って、最後の子供が一番やりたがる「ピッ」てところを人任せで終わらせるのであった。



 とりあえず会計は終わったので、外に行こうと思ったけどフードコートがあったから、ジュマルの手を引いてそちらのほうへ。ジュマルに協力してもらってイスに座り、ジュマルも横に座ったらさっき買ったばかりの魚を広げる。


「待てよ~? 待てだからね……どれから食べる?」

「にゃ~!」

「シシャモね。手を拭いてから食べるんだよ?」

「にゃ~~~!」

「拭けよ」


 ジュマルはシシャモを鷲掴みで頭からバリバリ食べているので、猫にしか見えない。その間に他の魚をレンジで温めようかと思っていたら、ジュマルはあっという間に食べきってしまった。


「まだ食べる?」

「にゃ~あ」

「サンマは温めたほうが美味しいと思うんだけど……待てる??」

「ううにゃ~」

「喋れよ」


 ジュマルはまだ猫化が解けないので仕方がない。それに待てないみたいなのでサンマの食べ方を教えてあげたけど、頭から行っちゃった。


「ほ、骨に気を付けるんだよ……」


 かぶりついてしまったモノは仕方がない。面倒くさいとも言う。喉に骨が刺さらないのを祈りながらジュマルを見ていたら、これもバリバリと完食してしまった。


「さすがにお腹いっぱいじゃない?」

「う~ん。それぐらいならいけそうやな」

「やっと喋ってくれた!」

「やっと? ずっと喋ってたで」

「噓つくな」

「ホンマや」


 ジュマルはホンマに喋っていたらしいから何を言ってたか思い出させてみたけど、そんな言葉は言われてない。


「ニャサホイってなに?」

「ニャサホイはニャサホイや。さっき食べたヤツ」

「さかな!! 私、ずっと魚って言ってたでしょ!?」

「せやっけ??」


 猫の界隈では「魚」のことを「ニャサホイ」と呼んでいたと初めて知った私であったとさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ