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お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
幼児期である

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026 小学校生活である


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。ジュマルの小学校入学は私も超心配。


 保育園を無事卒園したジュマルには、また母親と私での英才教育。小1の教科書を元に授業をやってみたが、やっぱり上手くいかない。15分は座っていられるのだが、それを過ぎると逃げ出す毎日。なので、作戦変更。

 せめてイスに座ってくれていたら先生や生徒に迷惑にならないからと、バレないような眠り方を教え込む。


「ララちゃん……こんなのでいいの? 私、悪いこと教えてるみたいなんだけど……」

「ほかにてがない……」

「確かにそうだけど……どこでそんな悪いこと覚えて来たの??」

「と、ともだちがやってた……」

「そんな不良と付き合ってるの!?」


 私の案が採用されたからには、母親も疑いが止まらない。しかしこれしか方法も思い付かないので、ジュマルには腕組みして寝させたり、頬杖ついて寝させたりさせるのであった。


「すんごい自然に見えるね」

「おにちゃ、こういうことだけきよう……」


 ただし、この作戦はズバリ嵌まって、ジュマルは座ったまま熟睡する特技を身に付けたのであったとさ。



 心配事も片付いたら、ついにジュマルの入学式。両親は喜びよりも心配が勝るのか、終始強張った顔をしていた。私の始業式は喜んでくれたよ?

 入学式では、ジュマルと私はいつも通りの挨拶回り。その時、ママ友スリーの娘、笹岡結菜(ゆいな)ちゃんが同じクラスにいたので少し話をしていた。


「ララちゃん。またやってるの?」

「うん。だいじなこと。それより、ヒロト君とかはいないの?」

「そうなの。私だけこの学校なの。でも、ジュマル君がいるからラッキー」

「おにちゃのこと、よろしくおねがいします」

「うんうん。このお姉さんにまかせておいて!」

「あんがと。ユイちゃん」

「え~。お姉さんでしょ~?」

「ユイちゃん……」


 結菜ちゃんは、もうジュマルの彼女気分。私にいつもお姉さんと呼ばそうとするけど、どこでその知識を得ているんだ。女の子の成長って早すぎない?

 そんな結菜ちゃんを押し返し、今回も母親と一緒に1週間の見張りは欠かさない。この学校が保護者が見学に来れる学校でよかった。でも、私の立ち入りはちょっと揉めた。妹はさすがに見学に来たことがないらしい。

 なんとかかんとか見学の許可が出たら、教室の後ろで母親に抱かれて観察。するとジュマルは教えた通り座ったまま熟睡しているけど、そんなことさせる必要なかったかも?


「カ、カオス……」

「どうぶつえんみたい……」


 ジュマル抜きでも、クラスは学級崩壊。隣のクラスからも奇声が聞こえてる。特に男子がウロウロして授業を聞いてないので、女子まで友達の席に行ってお喋りしてる。


「は~い。みんな自分の席に座りましょうね~? 年下の女の子も見てるんですよ~??」


 こんなに優しい女性の先生だから調子に乗るのか? 二十代っぽいからナメられているのか? それとも家の教育が悪いのか? うちの子供たちもこんなのだったのかしら……てか、池田先生。しれっと私をダシに使ったね!


 私のおかげで子供たちも恥ずかしくなったのか自分の席に戻ったけど、10分ほど経つとまたカオス。なのでまた私は池田先生に使われ、子供は座ると繰り返す。

 そんな1時間目が終わったら、池田先生のほうから私たちに寄って来た。


「広瀬さん。ジュマルさんは聞いていたよりおとなしいですね。これなら毎日来られなくても大丈夫ですよ」

「はあ……でも、心配なので……ところで、1年生ってこんなに騒がしいモノなのですか?」

「最初はこんなモノですね。ここから徐々に落ち着いて行くので心配なさらずに。今日は妹さんに助けられちゃいましたけどね。あはは」

「はあ……」


 あっけらかんと笑う池田先生は去って行ったので、私たちはコソコソと「いい先生? 悪い先生? どっち!?」と話し合うのであった。



 2時間目も、クラスはカオス。ジュマルは熟睡。私は度々使われるので外に出たら、2組の副担任って先生からお呼びが掛かった。


「ほら? あんなに小さな子でも静かにできてるんですよ~??」


 2組の先生、お前もか……


 どうやら休憩時間に池田先生が「楽できたわ~」とか言っていたから、「マジで? 貸して~!」となったと私の予想。

 この1週間、ジュマルを見張りに行ったのか、子供を落ち着かせる道具になりに行ったのかわからなくなる私であったとさ。



 ジュマルのことが落ち着いたら、遅ればせながら私も幼稚園の授業に参加。相変わらず勉強は楽勝なので、ジュマルのようにバレないように眠れないかと頑張る毎日。

 それと、ママから脱却できないかと世話焼きをやめていたのだが、もう定着してしまっているので、問題が起きたら子供が呼びに来てしまうので断れない。


「ララちゃんはあっちを頼める?」

「あい……」


 あと、先生も手が足りない時は私を頼る始末。


「ララちゃん……いつから保母さんになったの??」

「ママ!? いつから見てたの~~~!?」


 小学校が見学できたからと、幼稚園にまで見学に来て隠れて見ていた母親に、ママをしている姿をバッチリ見られてしまう私であったとさ。


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