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お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
高校生である

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113 温泉旅行である


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。専業主婦だって立派な職業だよね?


 将来の進路が多くなりすぎて途方に暮れた私が「専業主婦になるのが夢だった」と言ってみたら、エマに激しく揺さぶられた。何事かと思ったら、クラス中の男子の目がキラーンと光っていた。

 卒業したら離れ離れになると思っていた私が高卒の専業主婦を希望しているなら、学校の中にしかライバルがいない今が最大のチャンスだと思ったっぽい。


「テメェらにチャンスねぇわ! 散れ!! ララも逃げるぞ!!」

「キャーーー!!」


 その男子をエマが蹴散らしてくれたけど、ゾンビのように何度でも立ち上がり、どこまでも追いかけて来たのであったとさ。



 ひとまずジュマルのクラスに逃げ込んで、ゾンビ男子はジュマルに追い払ってもらった。距離を置いていても、私のピンチは別みたいね。でも、「俺に勝てたらララをやる」って言ってたけど、このままでは私は彼氏すら作れないのでは?

 あと、エマまで追い払おうとしていたので、2人でケンカになってたから止めた。しかしエマも物怖じしないな。やっぱり私のことが好きなのか??


 帰りはジュマルとエマと私は腕を組んでみたら、どちらも嬉しそうにしてた。ジュマルも私成分が不足していたんだな。帰ったらワシャワシャしてやろう。



 それからも将来のことを考えながら学校に通っていたら、野球部は国体を優勝。また私は机に突っ伏していたら、エマが何も言ってくれない。


「エマ~~~」

「なんだよ。どうせジュマル絡みだろ」

「聞いてよ~~~」


 エマは聞くつもりがないので、こちらから愚痴る。


「どの部活も、スケジュール管理バッチリだったの。すぐ泣き付いて来ると思ったのに~」

「そりゃ部活なんだから、代わりの人間なんていくらでもいるんだろ」

「私は社会の歯車のひとつだったなんて……」

「はいはい。ララは特別特別」

「そんな言い方しないでよ~~~」


 社会の厳しさに早くも打ちのめされていたら年は替わり、幼馴染ミーズやエマと共に初詣。ジュマルもいるよ。

 今年も私は「家内安全とジュマルがやらかさないように」と祈ったら、エマと幼馴染ミーズに呆れられた。自分のことも祈りなってことらしい。ジュマルの「魚食べたい」よりマシでしょ?


 幼馴染ミーズは何を祈ったのかと聞くと、今年で3年生になるから受験勉強のことだとか。ただ、大翔(ひろと)君だけは教えてくれなかった。彼にも彼なりの悩みがあるみたいだ。

 ちなみにここはアマテラスノオオミカミを奉っていない神社だったので「そこじゃない!」とか「浮気だ~。え~ん」とか頭の中で何度も響いていた。明日行くから!



 新年早々にジュマルはサッカーの国体も制覇。テレビではジュマルフィーバーとなっていたけど、高校卒業後はプロ野球に行くと言っただろ。なんでセリエAの話をしてんだ。

 ちなみにこの2年で日本代表のオファーは多数あったけど、全て断っている。理由は私が面倒だったのと、ジュマルが飛行機を嫌がったから。いまだに鉄の塊が飛んでるのが信じられないらしい。もうじき高3なのに……



 恒例の温泉旅行は、冬休みはジュマルが忙しかったから、サッカーの大会が終わってから。週末に学校を1日サボって、新幹線で大分にある高級温泉旅館までやって来た。

 温泉に何度も浸かり、漁港を回って魚を食べ歩けば、二泊三日もあっという間。ジュマルのお腹もパンパンだ。


 私は両親のお酒に付き合い、労いのお酌をしてあげる。くぅ~……私も飲みたい!!


「あと1年か~……」

「そうね……ララちゃんダメよ?」


 感慨深く喋っていた2人だったが、私がバレないだろうとお酒をオチョコに注いだら、母親に奪い取られた。これぐらい、いいじゃ~ん。


「ララの予定通り進んでるってことでいいんだよな?」

「まぁ……お兄ちゃんがサッカーやバスケをやり始めた以外は……あと、みんなが私を追い出したのも……」

「まだ根に持ってる……そのおかげで、ララちゃんは時間ができたんだからよかったじゃない」

「そうだけど、お兄ちゃんのプロ野球選手計画を考えたの私だよ? ブレッブレだったけど、なんとか(つむ)いで来たんだから」


 しばらくグチグチ言いながらお酌していたら、父親が話を戻す。


「ララがプロ野球の話を持って来たのは、6年生の時だったか?」

「そうそう。小6からジュマ君の仕事を考えていたのよね~。あの時はビックリしたわ」

「僕なんて、ジュマルには無理だと思った。なのに、今では世界が認めるスター選手だ」

「ホント、あの猫みたいだったジュマ君が、こんなに凄い人間になるなんてね~。ララちゃんは先見の明があったのね」

「本当に……全部、ララのおかげだ。ありがとう」

「ララちゃんありがと~」


 2人の会話は私のやらかし談に聞こえたので黙ってお酌していたら、2人して感謝して来たから会話に入る。


「感謝するのは、お兄ちゃんがプロ野球選手になってからにして。いつ問題を起こしてご破算になるかわからないんだからね」

「あはは。ララは心配症だな~。その時は、パパが金の力で握り潰してやるぞ~」

「金って……パパ、酔ってる??」

「そうよ。ママだって、人殺しでも法律の隙間を縫って、不起訴にしてあげるわよ~。あははは」

「人殺しって……ママも酔ってるよね??」

「「酔ってないよ~~~」」

「それ、酔ってる人の常套句(じょうとうく)だから!!」


 私のお酌した酒が美味しかったのか、早いペースで多くの量を摂取してしまった両親は、いつもよりウザイ絡み方をするのであったとさ。


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