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お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
高校生である

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103/130

103 年は替わるのである


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。なんだというのだ?


 ジュマルの謎行動が復活したので母親とも話し合ったら、寒くなったら人寂しくなるのでないかとの話で落ち着いた。

 ピッタリくっつかれる私としては迷惑この上ないが、前回ほど酷くないからそのうちなくなるだろう。母親は一緒に寝れてちょっと嬉しそうだけどね。父親は嫉妬してるけど……


 念のため高校に忍び込んでジュマルを観察してみたけど、授業中は寝ていて休み時間は女子を侍らすいつも通り。部活ではチームメートと馬鹿話をして笑っていたから、普通の高校生に見える。

 やはりジュマル特有の、季節性の精神病なのではないかと私も結論付けるしかなかった。人間だって冬は寂しくなってクリスマスまでに恋人を作ろうと頑張るもんね。それが少し早いだけなのかもしれない。


 心配事はある程度解決したので、私は授業そっちのけで受験勉強を頑張っていたら、バスケとサッカーの公式戦がなかなか重ならない。

 このままではどちらも全国大会に出場してしまうとヤキモキして応援していたら、大事な試合が重なったので私はガッツポーズした。


「ララちゃん。それは失礼だよ?」

「あ……あはは。サッカーは年を跨ぐから、どうしてもね」


 そう。今年はバスケ部を全国優勝させて、受験に集中したいから本音が出たので母親に叱られちゃったのだ。


「行かない学校の勉強なんだから、そこまで必死にならなくてもいいのに」

「だって~。自腹切ったんだも~ん」

「ララちゃんのケチ~」

「昔の仕返し!?」


 幼い頃に何度か母親に「成金」って言ってしまったから、ここぞとばかりに「貧乏症」と反撃される私であった。


 確かに口座には億あるけど、使うの怖いの。もう『お兄ちゃんと一緒』は更新してないのに、広瀬兄妹がやっていたと特定されたから、いまでも振り込みが続いてるんだもの。

 最終回で「消す」と視聴者に言ったら、20万人もの署名が集まったから消すこともできないの。手が滑ったとか、やってやりた~~~い!



 動画配信のことは置いておいて、ジュマルなしのサッカー部は善戦虚しく敗退。スコアを教えてもらったらPK戦まで行っていたので、危なかった。

 喜びたいところであったけど、みんな泣いてたから太ももをつねって我慢して、残念賞の手作りカップケーキを配っておいた。クリスマスも近いからね。

 するとサッカー部は、さっきより号泣。「このために頑張った」とか「優勝より価値がある」とか言ってたけど、私のカップケーキにそこまでの価値はないよ。超簡単だし。


 全国大会を控えているバスケ部のところには激励に行ったら、プレゼントはなかったので勝利の喜びが吹っ飛んでた。サッカー部が自慢しやがったか~。

 何故か負けた気分になっているバスケ部には、ウィンターカップが終わってから持って来ると言ったら復活。サッカー部には秘密にしないとあげないよ。


 その勢いで、バスケ部は快勝。ジュマル以外の選手も何点か取っていたけど、昔より失点が多いな。ジュマルのヤツ、どんだけ走り回ってたんだ……

 バスケ部の監督もそのことには気付いたようだけど、バスケらしい試合に見えてるから「何も言うな」と私は止めた。アホみたいに走り回るよりはマシなんだもの。

 監督も悩んだ末、来年は守備に力を入れると言っていたから、あんなハチャメチャな試合はやりたくないみたいだ。でも、ジュマルがいないことを忘れないでね?


 悩み事の増えた監督の指揮の元、ジュマルの100得点が続いてバスケ部は優勝。インタビューでジュマルは「先生。バスケがちゅきだから~」とか言って笑いを取っていた。誰が吹き込んだんだ……

 優勝おめでとう記念のカップケーキを配りながら犯人捜しをしたら、2年生の男子。でも、「先生。バスケがしたいんです」って有名なセリフをマネただけだったので、ほぼジュマルのオリジナルだった。だからカップケーキはあげた。


 でも、なんで韓流スターがやったCMのセリフが混ざってたんだろ……あ、私のせいかも? 何度か動画サイトで一緒に見てた!!


 やらかしたと気付いたけど、そのことには触れずに笑顔でカップケーキを配りきった私であった……


「ララちゃん。ジュマ君が言ったあのセリフって……」

「私が悪う御座いました」


 でも、母親に気付かれて平謝りした私であったとさ。



 なんとかかんとかジュマルの高校生活は予定通りに進んだので、年が明けたら私の受験だ!


「おっ! ララ受かってるぞ!!」

「ララちゃんおめでと~う!!」


 記念で受けた某・難関校にはなんとか合格。リビングで合格発表をノートパソコンで見てくれた父親と母親は、行かないのにめっちゃ喜んでくれているので忍びない。


「もう、ここに行ったらどうだ? パパの後輩になれるんだぞ~?」

「え? パパってそんなに頭よかったの??」

「言ってなかったっけ? あ……あんまりいい思い出なかったから、言わなかったんだったな」

「何があった?」

「まぁまぁ。ララもあんな高校やめとけ。ジュマルの高校のほうが楽しいぞ~」

「だから何があった??」


 父親は私が甘えて聞いても珍しく口を割らなかったので母親に教えてもらったら、1位を何度か取ったら権力者の同級生にイジメられて不登校になったんだって。

 それでよく立ち直って大金持ちになったなと、私は尊敬して父親に優しくなったのであったとさ。


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