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お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は転生者である。  作者: ma-no
高校生である

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101/130

101 三者協議である


 お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。


『私も部活に来てもいいかな~?』

「「「「「いいとも~~~!」」」」」


 てな感じで、野球部、サッカー部、バスケ部の面々はノリがよく、ジュマルもエースでいいみたいなので私の挨拶も終わり。個別の握手会に移行する。

 といってもOM1ウイルスがあるので、握手ではなく肘を当て合うだけ。野球部から始めたけど、何故か最初に私に肘を向けて来るので、立ち位置が悪いのかと思ってジュマルの逆側に移動しても求められた。


「いや、なんで?」

「ファンです!」

「知るか! お兄ちゃんとだけ!!」

「「「「「そんな~~~」」」」」


 なんとなくそうかなと思って質問したら当然の答えが返って来たので突き放したら、全員項垂(うなだ)れていた。美少女って、なんて罪なの。

 これでスピーディーに仲間作りができたので全員終わったら、キャプテンと副キャプテン、監督を集めて注意事項を説明する。ジュマルには煮干しの大袋を渡して同席させてる。


「お兄ちゃんはバカでケンカっぱやいので注意が必要です」

「「「「「へ??」」」」」

「最悪、暴力事件で出場停止になり兼ねないので、監督や先輩の暴力、暴言、パワハラ行為はやめてください。お兄ちゃんにボコボコにされますので」

「「「「「救世主じゃなかったの!?」」」」」

「救世主であり、破壊の権化です……」


 各部活は全国大会に導いてくれる救世主と信じていたみたいだけど、私の詳しい説明で暗い顔に変わるのであったとさ。



 このメンバーを集めたのは、パワハラ行為の有無を聞くため。監督や先輩からやられて嫌だったことを集めて、私が許せる範囲をジュマルに説明してみる。


「荷物持ちとかはイジメとかじゃないでしょ? 中学でもやってたんだから」

「おう」

「ジュースや必要な物を買いに行かせるぐらいは許そうね?」

「おう」

「でも、1人に大量に買いに行かせたりお金を出さないヤツは怒っていいからね。でも、殺しちゃダメだからね?」

「おう」

「「「「「いやいやいやいや……」」」」」


 私の判定に頷いて聞いていたキャプテンたちは、殺人までしでかすのかと聞いてられなくなってる。可能性はゼロではないんだもの。


「まぁ最初は怒鳴るぐらいなんで、そこで引いてくれたら大丈夫なんで。くれぐれも、それ以上踏み込まないでください。踏み込んだ人は、広瀬家が酷い目にあわせたんで……」

「「「「「怖いのはジュマルだけじゃないの!?」」」」」


 そう。怖いのはジュマルだけではない。母親も父親もけっこうヤバイのだ。人畜無害なのは私だけ。それでも私の機嫌を損ねたヤツは、家族から地獄に落とされるけど……

 これだけ脅しておいたのだから、みんなパワハラ行為はやめてくれると信じる私であった。



 それからスケジュールの話に変わって、どの部活がジュマルを全国大会に出場させるかを話し合う。当のジュマルは煮干しを食べきって寝た。

 どの競技も1年にみっつの大きな大会があるらしく、それを制覇することが目標みたいだけど、ジュマルの体はひとつしかない。無理だ!


 なので、お金で判断。高校を卒業したらプロ野球に行く予定だから、夏の甲子園は外せない。まぁプロ野球からはすでに予約は来てるけど、私が見たいし。

 ということは、残っているのは春と冬。サッカーの高円宮杯は秋だけど、出場チームが多いから大変なのよね。春のサッカーとバスケは新人戦だから大きな大会というわけではないみたいなので、選抜甲子園に出てもいいかな?


 というわけで、冬はサッカーとバスケを交互に。3年目は試合がかち合わない限り、ジュマルは全参加。その時の敵が強いほうにジュマルを出場させることに落ち着いた。

 ちなみにジュマルが空いてる時は、サッカーとバスケの大会にも出場することにして、運が良ければ夏も全国大会を狙ってみよう。忙しいね。


「それじゃあ、お兄ちゃんに暴力を振るわせるようなことだけは、絶対にやらないように気を付けてください」

「「「「「それが一番のネックか~」」」」」


 一回やっただけで、全ての競技が飛ぶからね。OM1ウイルスも厄介だけど、ジュマルの厄介さも負けていないから、暴力事件だけは起こさないでほしいと願う私であった。



 懇親会が終わってから各部活の練習が始まったけど、ジュマルの様子がおかしい。いまはジュマルはリビングのソファーでひっくり返って寝てるから、母親と私は顔を覗き込んでいる。


「にゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ……」

「なんか笑ってるね……」

「最近いつもこうなの」


 ジュマルは起きてても寝てても、思い出し笑いみたいなことをしてるから、ちょっと気持ち悪いのだ。授業中も急に笑い出して授業を邪魔してると幼馴染ミーズから報告を受けているから、どうしたものか。


「まぁ、幸せそうだからいいんじゃない?」

「そうだけど、理由がわからないと気持ち悪いじゃない」

「きっと暖かくなったからよ。ララちゃんとべったりなのもなくなったじゃない」

「う~ん……そうなのかな? ま、部屋に来なくなったのは助かるけど」


 元が猫だから、本当に暖を取っていただけの可能性は否定できない。でも、母親のその顔はなんだろう?


「もしかしてだけど……ママってまだお兄ちゃんと寝てるの?」

「だって猫みたいでかわいいんだも~ん」

「完全に人間だよ」


 ジュマルが私離れしてくれたのはよかったが、母親はジュマル離れ、もしくはペット離れができない体になっていたのであったとさ。


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