22、【心の弱い人は見てはいけません】毎日書く動機付けの方法
ふう。いやあ、このバーもなかなか盛況でありがたい限りです。なんだかんだで二十作以上書いている人なんて結構いらっしゃるんですねえ。か、あるいは、自分の今までの執筆量についてサバを読んでいるかですね。
とにかく千客万来はいいことです!
おっと。またお客様だー。はい、いらっしゃいませー。
おや、お客様、どこかでお会いしましたね。
あ、なんだ、お客様、チャプター1でいらしたお客様ですか。確かお客さんには「まずは毎日書くところから始めろ」ってお勧めしましたね。その後、どうですか。
え、駄目だった? どうしてもモチベーションを管理できない?
ああそうですかー。確かにモチベーション管理は面倒ですからねえ。
はい、分かりました。では、今日はその話をしましょう。え、お酒ですか? 申し訳ありません。この話はお酒の肴にして聞く話じゃありません。申し訳ありませんが、何も飲まずにお聞きください。
もう一度、注意をしておきます。
これから丸屋が言うことは、かなり辛辣で、かつあなたに途轍もない選択を迫る可能性があります。それを御了解いただける人だけ、この先を聞いてください。
小説を書き続けるモチベーション。
これほど難しいテーマはありません。何故かといえば、これに対する明確な答えなんて存在しないからです。
それに、そもそも「小説を書き続けるモチベーション」なんてもの、本来はなくてもいいものなのです。だってそうでしょう? あなたは小説を生業にしておられますか? たぶんこれを御覧の方のほとんどは小説を生業にしていない人たちです。それは丸屋も同じです。小説ではないことを仕事にし、その対価でご飯を食べ服を買い日々を過ごしているはずです。正直、「小説を書き続けるモチベーション」なんてあったところで、あなたの腹を膨らませるものでは決してありません。
でも、上手い小説を書くためには、やはり毎日書くのが一番です。ここは絶対に譲れません。
じゃあ、どうしろっていうんでしょうかね。
つまりですね、小説を書き続けるためには、強い動機づけが必要なんですね。
例えば、「WEBでの企画に参加する」とか、「公募に提出する」と目標を決めて書くのがその一つです。締め切り設定権がこちらにではなく先方の側にある場合が多いので、こういったことを目標にして書いていき、一つ目標を果たしたら次の目標へ、また次の目標へと移っていけば、毎日小説を書くことが出来るでしょう。
しかし、この方法も、実際にはあまり強い動機付けにはなりません。
きっと公募に向けて頑張っていらっしゃる皆様ならお分かりのことと思いますが、公募って、恐ろしいほど通りません。そり立つ壁に向かって卵を投げつけているような気分に苛まれます。自分の無力を噛み締め続ける羽目になります。公募に挑戦し続ける、というのもかなり強いモチベーションが求められるんですね。
というわけで、ここで、丸屋の動機付けの方法が生きてくるわけですね。
今日は、丸屋の動機付けをお教えしようかと思います。
しかし、断っておきます。この方法を使用するのは、あまりお勧めできません。だって、この動機付けは、マイナスの動機付けなのですから。
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これは丸屋の実感ですが、一日小説を書かないでいると、一週間分の努力がフイになり、実力が後退します。どういうことかというと、チャプター1でもお話しした「小説回路」にも関係してくるんですが、小説回路って変なもので、一日動かしてやらないと、なんとなく噴き上げが悪くなってしまうんですね。そして、小説回路はフルスロットルで回してやらないと今一つ成長しない、面倒なものなのです。
そして、二十作以上を書いてきたあなた(そして丸屋)は、きっと既に、小説に対して相当な時間を使っているはずです。毎日一時間、一年間書き続けただけで365時間です。きっと、あなたがこうやって小説を書いている間、あなたの同級生たちは勉強をしているかもしれませんし恋人と楽しい時間を過ごしているかもしれません。はたまたその時間で資格を取っているかもしれませんし株とかで大儲けしているかもしれません。お分かりでしょうか。実は、二十作も書かれてきたあなたは、既に小説のためにあなたの時間を相当に捧げてしまっているのです。そう、その時間を無駄にしないためには、小説に向き合ってさらに上手くなるしかありません。そして、上手くなるためにはどうしたらいいか。
そう、毎日、書くしかないのです。
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この丸屋の動機付けは、恐怖による動機付けです。「今までの自分が費やした時間を無駄にしていいのか!」、「一日休んだだけで三日腕が後退するなら、毎日頑張るしかないじゃんか!」という悲壮感で以て、丸屋は小説を書いています。
なぜそこまで? ですって?
決まってるでしょう。小説を書くのが好きだからです。そして、同年代の人たちが株で大儲けしたりリア充爆発状態だったりするのを横目に、丸屋は小説を書いている自分が本当の自分なんだと心から納得しているからです。
というわけです。
あんまりお勧めは出来ないですね。でも、本当に上手くなりたいんだったら、こういう蛇の道もありますよ。
え、「そんな人生、面白くなさそうだから、小説は趣味程度に留めておく」?
ああ、それも選択肢ですね。ええ。
でも、もし、本当に小説と向き合いたくなったら、また相談に来て下さい。
その時は、蛇の道へようこそ、とあなたに笑顔を振り撒けそうですね。




