シーン84過去の記憶から。
俺は記憶の中にいた。
幼き俺は………まだ何も知らなかった。
政治家である父と、そして優しい母の元に生まれ……幸せな時を過ごしていた。
何不自由なく暮らしてきた俺はきっと周囲からは羨ましがられていた気がした。
だが俺はそんな生活を続けていた………。
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そんな中………俺はとある光景を目にしてしまう。
それは父親の元を尋ねてきた人が多額のお金を父親に持ってきた光景だった。
ニヤつき話す二人。
何故か分からないが嫌な雰囲気を察してしまった俺。
そして次の瞬間。
脳内映像が切り替わる。
目の前には母親が父親に涙ながらに叫び泣く映像に切り替わる。
幼き俺はそれを見て呆然と立ち尽くしていた。
そして怒りに任せた父親は母親を。
見るに堪えない俺はただ見ていることしか出来なかった。
そしてそれは母親だけではなく、時折尋ねくる人の父親への罵声雑言の光景と、その者が囚われていく瞬間の光景。
そんな自分が見てきた嫌な瞬間が見えた。
だが表立っては自身の父親は有名代議士として人々の注目を浴び続け……………仮の俺の家族の在り方を目にしてきた。
父親は俺の前ではいい人を演じていたのだ。
俺が何も知らないと思ってだ。
そんな俺は日に日に父親への嫌悪感を示していった。
そんなある日。
俺は衝撃的なものを目にしてしまったんだ。
それは母親が突然俺に話があると部屋に来た時の事だった。
母親はいつも俺の部屋に来る時はにこやかな表情でやってきてそして俺に優しく話しかけてくるんだ。
だがその日は違った。
悲しげな表情の母。
そして彼女は辺りを意識しながらも口を開く。
『ユーロ…………いい?大人になるまで貴方にはこの家………貴方の父親の真実を伝えないようにしようと思っていたけれど………』
そう言うと母は意を決したかのような表情をし、俺の瞳に訴えかけてくる。
『貴方の……………貴方の父親は…………………………』
母親がそう言った瞬間。
ドアが急に開く。
『エミリー………………………』
そう言って入ってきたのは父親だった。
『貴方!!!???』
そして父親はこちらへ歩み寄ってくる。
『エミリー……………ダメじゃないか?俺たちは家族なんだ…………ユーロと話す時は俺を交えて話さなきゃいけないと何度も教えたはずだが。』
『貴方……………………………私は………私は!!!!!』
母親がそう言った瞬間。
母親は突然その力を失ったかのように何も話さなくなった。
そして父親は口を開く。
『おい…………エミリーを寝室に運べ。』
『はっ!!!』
そう言って部屋へ入ってきたのは父親の側近の男だった。
男は母を担ぐと俺の部屋を出ていく。
俺は固まってしまい声にもならなかった。
そして………母親は病に伏せてしまった。
あの日のあれ以来……声も出せなくなった母親。
そしてそれから間もなく………母親は天に。
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だが…………あの時。
実は俺に母親が渡してくれた物があったのだ。
それは俺が小さくまだサイズが合わなかった為に時を待ちはめたグローブ。
そう………母親はあの夜……俺を守る為に最後にくれたのが俺の魔神具『アイスグローブ』だったんだ。
『俺に母が残してくれたのがこの魔神具であり………魔神………タイガ………俺は…………………負けない!!!!!!』
『クククッ……お前が何をしようがこの俺様には勝てない…………それをこの炎で証明してくれるわ!!!!!』
ボボボッと奴は両手に炎を纏わせる。
熱を更に発展させ点火しついには炎を纏わせた奴の拳。
だが俺の拳には今氷の力は静かに宿っていた。
『そうか………ならば…………』
俺の背後にはタイガが姿を現していく。
『そ、それは…………………………』
そう俺の背後には巨大化した氷の女神………それはまるで伝説のシヴァ神。
だがこの時…………………俺に見えたのは………シヴァ神の氷の微笑は……………俺の母親……エミリーの微笑みに見えた。
(母さん……………………きっと貴女は今も俺をこうして見守ってくれているのかな………………)
氷の女神のハズなのに俺にはとても温かいぬくもりをくれる俺の魔神。
『さあ…………俺は更に強くなったぞ………いくぞ。』
『くっ!????貴様っ!!!???』
そして俺は冷気を爆発させる。
『はああああーーーーーーーーーーーーーっ!!!???』
その瞬間。
ドウっと放たれた爆風!!!!!
俺のその爆風は冷気の爆風。
『うあああああっ!!???』
『ああああああーーーーーーーっ!!??』
それはマリアとエルメスを捕らえていた男達の絶叫。
そして男達は凍りつき動かなくなったんだ。
『なにっ!??これは!!!!???』
『お前も…………このまま永遠の氷の中で………眠れ。』
『うっ!!!???うあああああーーーーーーっ!!!??』
『魔神………タイガ…………………『零度……』』
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