シーン76ジェイクの過去。
ベルーガの元へ迷い込みやってきて俺に働かせてくれと言ってきたのは青年ジェイク。
ベルーガの話から俺をこのアステリオのBOSSと知り訪ねてきたという話であった。
つまり何らかの覚悟を決めてここへ来たという訳だ。
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『BOSS………………………………』
そう言葉を吐き出すと真剣な目で俺を見据えてくるその眼光は真剣そのもの。
まずは彼の事を知らねばなるまい……俺は彼の目を見つめる。
『ジェイクと言ったな………ここがどんな所か分かってきたのだろう?』
『ああ………ここは表向きは恐ろしい闇の組織………アステリオ………やばい組織ってこのアメリスアードでは有名だぜ』
含み笑いでそう言葉にするジェイク。
『ほう……いい読みだな……………ならばそんな危険な組織へ入るという意味も?』
『ああ…………もちろんだ………俺はこの貧困街で生まれ育った…………そして今まで一人で生きてきたんだ…何のあてもなく、ただ一人孤独……そして…生まれながらにこんな忌々しい力を持ってな。』
俺はジェイクの手にはめられたグローブに目を向ける。
するとその黒いグローブからは何かが立ち込めていた。
『そのグローブの事か!?』
『ああ……………そうだ………これは俺が捨てられていた二歳くらいか…その時に持っていたグローブらしい……そして俺はこの貧民街の気まぐれな女性に拾われたんだ。』
そして彼は自分の生い立ちを語ったんだ。
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俺を拾ってくれたのはここの貧民街で暮らす一人の老婆……名は『グレース』といった。
『グレース』はどうやってこのアメリスアードで一人で暮らしてきたのかは分からない…周りからも滅多に姿を見る事はなかったという……だがその時……ジェイクを見つけたのは偶然だったのだろうか?
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グレースは、とある夜……仕事帰り帰路についていた。
『ふぅ…………今日も冷えるねえ。』
グレースは昔この貧民街で一人で生きてきた。
男がいた事はあったがロクでもない奴らばかりだった。
そんな彼女は一人で生きていく事を決意し、そしてずっと一人で生きてきた。
そして今。
とある場所で彼女は一人の小さな少年を見つける。
少年は見た目………四、五歳だろうか。
『おや?あなたこんな所でどうしたの?』
少年は膝を抱えていたがグレースに目を向ける。
彼のその目はキツくもあり、その中にどこか寂しげに感じる。
その時。
少年のお腹が鳴る。
きゅるる………………………。
『あはは!あなたお腹空いてるのね?』
少年は顔を赤める。
『……………………………………………。』
『そっか……………………ねえ、私の家にこない?』
そう言ったグレースに少年は驚き目を向ける。
すると少年の手をとり立ち上がらせるグレース。
グレースは優しい笑顔で問いかける。
『君の名前は?』
『………ジェイク……………………………。』
『そっか………ジェイク……………いい名前だわ。』
『お、お姉ちゃんは?』
『グレースよ………よろしくねジェイク!?』
こうして俺を家へと連れてくグレース。
俺はこの時……生まれて初めて、人の温もりを知った。
そして俺はグレースと暮らし始めた。
彼女は音楽が好きでよくパンクロックという音楽を聞いていた。
おかげで俺のファッションがその影響をうける。
いつしかグレースは言った。
それは俺が秘めていた力の事を打ち開けた時だった。
『グレース……あのさ………………』
『えっ!?突然なあに?ジェイク?』
俺は彼女に俺の全てを話していた。
すると彼女は微笑みこたえる。
『そっか、ジェイク……私に教えてくれてありがとう!』
彼女は俺のこの気味の悪い魔神という存在を持つ俺を笑って受け入れてくれた気がした。
『えっ!?グレースは俺が怖くないの?気味悪くないの!?今まで出会ってきた人達は俺を気味悪がって、そして俺はずっと一人で生きてきたんだ。』
俺の目から勝手に流れていた泪。
グレースは俺を抱きしめてくれていた。
『ジェイク……………今まで生きていても私と出会ってくれてありがとう。』
気がつくと俺は……初めて自分を受け入れてもらえた事で……思い切り泣いていたんだ。
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