シーン59初恋。
ラグナの話は彼自身のこれまでの生きてきた過去だった。
そして彼は今こうしてマジェスト協会の力となり私のサポートという形でいてくれているのだ。
『さあ、じゃあ行こうか!?』
ラグナはそう私に声をかけてくれる。
私はその声に頷きながらマジェスト協会を後にする。
ここからはいよいよ私の目的であるケニージアを変える為の行動に踏み出すのである。
『分かりました。』
『では、まずはケニージアの近隣の村にマサイア族という太古から存在し、ケニージアを守ってきた部族を訪ねて見ることにしよう。』
『マサイア族……………はい、確かに聞いた事があります………でも、やはりケニージアを守ってきたという事は今のケニージアの王族とも繋がりがあってその息もかかっているのではないのですか?』
私はそんな疑問を投げかけてみる。
もしも、そうだとすれば、ケニージアの王族ごとなんとか変えようとしようとしている私達にとってはおかしな行動をしてしまえばマサイア族の人達からの反感をかってしまう事になってしまうハズ。
私は思わずそう考えてしまっていた。
するとラグナは続ける。
『そこは抜かりはない………僕がもう手は回してある……』
『えっ!?それってどういう事!?』
『これから、この僕が君のサポートをしていくよは言っただろう?そしてそれはこの国を変えるというだいそれた事である事はもちろん君も知っているだろう?』
『はい。』
『この僕が君についている限り、君の成すべき事を必ず成功させてみせる…………元々不可能に近い事を君は行おうとしているんだ………それを成功させた時の事を考えてごらんよ?貧困街に生まれた小さな少女はその苦難の人生を乗り越えやがて国の悪政を打ち払い、そしてその国を自身のものにし、国を変えてしまう………どうだい!?こんな痛快な話は中々ないだろう!?僕はそんな話をヤシュア様から聞かされ、そして興奮したよ……僕は魔族に生まれ育ってきたが、こんな事を体験出来る事になるとは思ってもみなくてな……恥ずかしながら聞かされた時は本当に興奮したよ。』
本当にそうして興奮気味に語ってくれたラグナ。
ここまで共感もしてくれて私のこの行動に力を貸してくれるとは有り難い話なのである。
『私………ラグナに拾われて本当に感謝してるの…………………』
『ん!?急にどうした!?』
私は思わず自分の思いを語り始めていたの。
『私があの時貴方に拾われなかったら……今もあの国の貧困街で飢えと貧困に苦しんで………そしてあげく…………………私は知ってる……あの街の女性は食べる為……生きていく為に……自らの身体を捧げているの………私の母もまた貧困に苦しんでそんな事をしてきた事を………そんな時………私が生まれたの…………他のほとんどの女性はそうなれば赤ちゃんのうちに知らぬお金持ちに売り……そしてお金を手にしているって事も聞いたわ………でも私の母は違った………………私が母にとって、凄く愛おしかったって言ってた………そして自分が食べなくても私に沢山愛をくれていたわ!!!』
私はいつしか涙を流していた。
ラグナはじっと私を見つめてくれていた。
立ち止まり私をそっと抱きしめてくれるラグナ。
『ヒューマンの女性の涙を止めるには、こういうのがいいのだろう?』
私を抱きしめそう語ったラグナ。
その彼の行動に私は感情が溢れ出してしまう。
私は彼にしがみつき…………泣きだしてしまっていたの。
それは長く……とても長く………私の思いを全て受け止めてくれた時間だった。
そしてそんな彼に私はいつしか恋心を抱いていた事を認識したのだった。
◇
◇
◇
私達は改めてマサイア族の村を目指す。
彼との二人旅。
私は人生の中で、この時が自分の女性としては一番幸せな時間だったかもしれない。
『ラグナ………ねえ、今度はお肉を上手に焼く方法を教えてくれないかな?』
『ああ、こないだの黒焦げをまた食わされるのはもう勘弁だからな』
『もおーー!!ラグナっていつも私をそうして揶揄うんだもん…………………私だって傷つくんだよ?』
『ははは…………すまんすまん…………』
私達の幸せな時間。
野宿がほとんどのこの旅では自分達で食料を確保し食べなければならない。
そんな彼に私は調理なども教えて貰っていた。
とはいえ焼く煮る、くらいの料理だったけれど、彼に私が調理したものを食べてもらうことに幸せを感じていたのだった。
このまま…幸せな時間を。
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お読みくださりありがとうございました。




