シーン13リオの成長。
俺とリオを助けてくれた男はベルーガという名前らしい。
『ありがとう……助かったよ。』
俺が礼をつげると彼は笑顔で答えてくれる。
『いやあ、なにも気にしなくていいぞ!?こんな小さな子相手にああやって脅すバカが悪いのだ。』
すると、ぷるぷると震えていたリオの表情が緩みにっこりと微笑む。
そしてリオの震えは止まり。
『おじちゃんありがとう。』
『おおっ!いいんだよいいんだよ!お嬢ちゃんは何も悪くないんだからな!』
ベルーガはリオの頭を撫でるとリオは嬉しそうに微笑む。
するとベルーガは口を開く。
『そういや、あんたら旅の人かい!?』
『ああ……すまない……助けてもらって自己紹介がまだだったな……俺達はわけあってアメリスアードからきた、俺はレギオン………そして娘の『リオ』だ。』
するとベルーガはにっこり笑う。
『そうかそうか!レギオンとリオか!旅って事ならここから行った先のケニージアには確かに宿もあるにはあるのだが旅の人にはあんまりオススメはしない……』
『どういう事なんだ!?』
俺が問いかけると、ベルーガは顔を顰めながら呟く。
このベルーガ、体格はごつく筋肉で覆われこのまま戦えば大概のものは吹き飛ばされてしまうであろう大男、その風貌はまさに戦士といえよう。
そんな男が語ったのはこのケニージアの実情だったのだ。
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実はな……この国は世界的にみても貧困層が多くてな……元々狩猟、そして大自然との調和を図ってきた国……発展国の様な近代的なものは遅れてしまったのだ。
その為……この国は経済力も乏しくなりこのような貧困層が沢山増えてしまったのです。
このケニージアの国王は………歴史と変化を嫌い……そこまでは考えてはいないのです。
国王達は国民からの税で食べてはいけますが国民達自身は収益も少ないのに税だけはとられる。
そんな国の現状がある以上……貧困街が広がり犯罪など国の治安も悪いのです。
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『そういうことなのか。』
『ええ……だからこの国の街などが貧困街なのですよ……それ故に街に泊まる事を止めた訳です。』
この男…………俺たちに気遣いそんな事まで教えてくれるとは。
いい男だな……信頼のおける素晴らしい男だ。
俺はこのベルーガにそう思ったんだ。
『なあベルーガ……良かったら俺たちをアンタの村に案内してもらえないか?』
『ん!?俺たちの村に?』
『ああ………俺一人ならどこで寝ようが構わないが娘のリオは安心させて眠らせてやりたいんだ。』
『そういうことか……それならばいいぞ!まあ飯は大したものはないがこの街よりは安全だろうな。』
『ああ………助かる。』
こうして俺はリオを連れこの街で出会ったベルーガに着いていく事になったんだ。
まあ、まさかこのベルーガが俺たちにとって将来的に繋がる関係になるとは……この時はまだ分からなかったんだ。
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俺たちはベルーガの村に招待され、そして。
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『あはは!パパーーー!!これ美味しい!』
『そうだなリオ?こんなに俺たちをもてなしてくれるとは!本当にありがとう!ベルーガ!』
『なあに、俺たちの村にはこんないわれもあってな……客人に尽くせばいつか自分達の未来も開く事だろうってな。』
『ほお、そんないわれもあるのか?』
『ああ!だから俺たちはこうして旅の者を泊める事もよい行ないだとされてるのさ。』
『なるほどな!』
俺は久しぶりに気持ちも晴れてきていた。
リーナがいなくなってからはやはりどこか寂しさを感じていた。
マジェスト協会でもお世話にはなったのだか。
だが、ここの人達は俺達を本当の家族の様に接してくれたのだ。
そしてリオも楽しそうに遊んでいたのだが。
すると。
『これわちのおーー!?』
『なんだよお!僕のだよお』
リオが誰かと口論する声だった。
『『ん!?』』
俺たちが目をむけるとそこには村の同じくらいの男の子と喧嘩をしているリオの姿があった。
『こらこら!?女の子相手に何をしてるの!?』
『えーーーーーーーっ!?だって!僕のだもん。』
見ていると少年の母親がそれを止めてくれていた。
『いい?イシメール?女の子には優しくしないとダメ……女の子は貴方みたいな力はないのよ?だから守ってあげなきゃダメ。』
そう言われた彼は眺めていたリオに取り合っていたものを差し出す。
『ごめんね、はいこれ!』
『うん!ありがとう!』
仲直りをした二人を見て俺はリーナを頭に浮かべていた。
(リーナ…………リオも成長してるんだな……なんだか俺……嬉しいよ。)
こうして夜は更けていく。
そしてリオも寝静まった頃。
俺はこの村の長老から、この国の聖獣様の話を聞こうとしていたのだった。
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