第十三話 巨大獣ゲゲルル 見えない敵を討て! 6
巨大獣ゲゲルル改が完成した。
何故改というかと言えば、本編の巨大獣ゲゲルルとは異なったフォルムや性能になっているからだ。
その言い方だと巨大獣ドドンガーや巨大獣ゲスラーも改という事になる。
まあ今までの事を全部言い直しだのやり直しだのしていたらややこしいので、この言い方は俺の中だけにしておこう。
そういえば――俺の勘違いと言えば、浜野監督と富浜監督の交代時期もそうだった!
確か――王者エメライン――からの――明けの明星――は前半十九話が長富監督、後半二十話が浜野監督だったが、このガッダイン5は浜野監督は前半十七話までが浜野監督による脚本で、それ以降は長富監督の作品と言える物だった。
何故なら浜野監督はこの一年後、新会社日本サンシャインのロボットアニメ――無敵巨人ダンボット3――の監督をする為に準備に取り掛かったからだ。
このダンボット3、皆殺しの浜野の名前で言われるようになった最初期の作品だ。
無敵巨人ダンボット3はアビル星人の難民で地球に江戸時代に到着した主人公達、星一族と宇宙の破壊者ザンゾッグとの戦いを描いたロボアニメだ。
これはガッダイン5の一年後の作品だったが、あまりの内容のハードさに今でも語り草になるほどのロボアニメで、特に最終回のザンゾッグが滅びていたなんて設定は、浜野監督のオサムシプロ時代の――大空のイカロス――でのイカロス族とガルダ族との闘いの歴史を彷彿させるものだった。
まあいつもの事だが俺はついつい脱線してしまうな。
またどうせブツブツ言っていたと言われてマーヤちゃんに気持ち悪かったと言われるんだなー。
「マーヤちゃん、俺何か言ってた?」
「えいっ! えいっ!! このっこのっ!」
……どうやらマーヤちゃんはスペースエイリアンに夢中になっていて俺の話は聞こえていなかったらしい、そうですかそうですか……。
さて、そろそろメンテナンスを終了させて巨大獣ゲゲルルのテストを開始しないと。
俺はゲゲルル自身の目の部分にスパイドローンと同じカメラを設置しておいた。
これでガッダイン5の内側からも巨大獣からも状況が確認可能だ。
なお、俺の作ったスパイドローンは虫の形をしているので正体に気付かれずに北原未来要塞ベースやガッダイン5の中を見たり聞いたりする事が出来る。
最近の天敵はケン坊の姿をした三島長官だ。
アイツ、掃除の度にこのスパイドローンを見つけてはどうにか叩き落とそうとして何度ギリギリのタイミングで逃げ出したことやら……。
もしこのスパイドローンが見つかってしまえば、かなり厄介な事になる。
仕方ない、一度このスパイドローンをステルス可能な機体に改造するか。
さて、巨大獣ゲゲルル発進!
ゲゲルルは奇岩島周辺を探索したが、特に異常は見られなかった。
そんな見回りを二時間に一回のペースでやっていたのだが、ついにアイツらがやって来た!
「三島長官の命令でこの海域を調べる事になっちまったけど、どうやらこの辺りで間違いなさそうだな」
「龍也さん、巨大獣発見です!」
「空中戦は不利ですばい。オイがとっ捕まえて投げ飛ばしてやるでごわすっ!」
しまった! ガッダインチームだ。
本編では見えない場所から悪天候を利用しての攻撃だったが、不幸な事に今日は晴天だった。
「巨大獣ゲゲルル、一度島の近くまで戻ってこい!」
「ギャゲエエエエオオオオーン!」
巨大獣ゲゲルルはガッダイン5に追いかけながら空を飛び、奇岩島近くの海域の積乱雲の中に飛び込んだ。
「くそっ! 何も見えねぇっ」
「龍也、何か来るぞっ!」
巨大獣ゲゲルルのハリケーンミサイルが積乱雲の中から発射された。
「キャァアアアッ!」
「千草っ、大丈夫か!」
「ええっ。とりあえずはっ」
さて、ガッダイン5。
この積乱雲の中から見えない攻撃を受けるがいい。




