第九話 巨大獣ザザンザー 北原未来要塞ベース危機一髪! 5
巨大獣ザザンザーの制作はそれほど時間がかからなかった。
まあ中身ががらんどうのスカスカ、最低限の部品で兵士を大量に搭載するだけのスペースの確保の方が大変だったくらいだ。
昔どこかの物置のコマーシャルで百人乗っても大丈夫ってのが有ったが、このザザンザー、乗るだけ乗ったら百人どころか詰め込むとこまで詰め込めば数百人は乗れるようにした。
腕と足と頭は蛇腹状に伸びるようにしてあるので、どこの箇所からでも北原未来要塞ベースに入り込めるようになっている。
さあ、こちらの準備は完了した、後はバルガル将軍に伝えるだけだ。
「バルガル将軍殿、おられますかな?」
「お、おう。ブキミーダ殿か、完成したのか?」
「はい、準備は出来ております」
バルガル将軍は謁見の間のテレビで海外人形劇の国際救助隊ファイヤーバードを見ていた。
シャールケンは自室で休息中だ。
そういえばガッダイン5大百科には、シャールケンは謁見の間以外に専用の自室がある事が書かれていた。
一応美術班によって部屋の設定画も用意されていたが、ほとんどは謁見の間がシャールケンの出番であり、自室は本編中何度出てきたか数える程度だ。
なので謁見の間=シャールケンの部屋だと勘違いしていた子供も多いはず、大百科を見る前は俺もそうだった。
ファイヤーバードを見終わったバルガル将軍は、出撃準備を進めていた。
「ブキミーダ殿よ、今回は貴公も参加してもらいたい。吾輩が陣頭指揮を執る。貴公は後方支援をお願いしたい」
「はい、承知致しました。ところでミザーリンはどこに?」
「ミザーリン殿は先に地球に降りて防衛隊基地に向かっておる。ガッダインの基地に救援を送れないようにするとの事だ」
成程、これは原作でもあった展開だ。
三島防衛長官はミザーリンの包囲網を突破し、防衛隊の精鋭を引き連れて自ら大型輸送機に乗り北原未来要塞ベースに駆け付けた。
なおこの三島防衛長官、特攻隊出撃予定の学徒動員兵上がりだったとの設定なので、本人も飛行機操縦は可能だ。
今の三島防衛長官の姿のアイツが飛行機を動かせるとは思わないが、どのような行動に出るかは想像がつかない。
まあ俺は、なるようになれ、で動くだけだ。
俺とマーヤちゃんは機動要塞ドグローンに乗り込み、地球に向かう事になった。
巨大獣ザザンザーには既に数百人分が乗り込んでおり、機動要塞ドグローンには普段の数十倍以上の乗員数が搭乗している。
「機動要塞ドグローン、出撃する!」
バルガル将軍の大きな声が機動要塞ドグローンに響き渡った。
そして俺達は大気圏に突入し、相模湾の北原未来要塞ベース付近の海に到着した。
しかし外から見たとして超巨大な半透明の脳ミソの見える骸骨の形の要塞が飛んでいたら恐怖以外の何物でもない。
流石はスタジオきまいらのデザインした巨大要塞というべきか。
子供がこれを見たら間違い無く泣くって、実際俺は子供の頃このドグローンを見て怖いと思ったくらいだ。
「バルガル将軍。機動要塞ドグローン、あと少しで敵基地に到着します」
「そうか、それでは挨拶をしてやらんとな。スカル砲、発射せよ!」
ドグローンの目の部分から巨大な砲弾が発射された。
これ、命中率は最悪だがロボットシミュレーションゲームで出てきた時にはダイコーン3やジェッターロボGですら瀕死、無改造なら一撃撃沈される程の威力の砲弾だ。
現時点では移動不可能な北原未来要塞ベースではコレを避けることは出来ない。
また、超電磁バリア発生装置が破壊されているので、受け止めも不可能だ。
さあ、どう戦うのかな?
俺はスパイドローンで北原未来要塞ベースの指令室を探った。
「代々木博士、巨大な砲弾がこちらに向かって飛んできております!」
「な、何じゃと!? 超電磁バリアはどうなっておる?」
「それが、超電磁バリア発生装置に不具合が出ており、バリアを形成するのが不可能です!」
「何じゃとぉおおお!?」
万事休す。
北原未来要塞ベースは最大のピンチを迎えていた。




