番外編 宇宙漂流記ルミナス 153 シリーズ初!? 悪が勝つ6
突然現れた大武神フンサイオーにその場にいた全員が驚いていた。
「ワカマッツ、一体どうなってるんだい? ヤッテヤルマンは木っ端微塵になったのではなかったのかい?」
「はて、小生の占いでは確実に今日はラッキーデーだと占いババさんが言ってましたし、負けるわけないんですけどね」
ワカマッツが何やらモニターに映したのは、緑色の粗い線でできたコンピューターの老婆の映像だった。
「本日ハ、海上ニ大嵐。トコロニヨリ強力ナレーザーガ振リ注グデショウ。気ヲ付ケヨー! 一寸先ハ闇ノ中ー!!!!」
「「「コケーッ!」」」
もうこのノリはこの世界を抜けるまで続くのだろう。考えたら負けのような気がする……。
さらに輪をかけるように謎の二人組が姿を見せた。
一人は顔がよく見えない大男だ。
「あっちでブツブツ、こちらでブツブツのつぶやきレポーターです。カメラマンはお馴染みの……」
「尾山です」
「はい、ここでは今からヤッテヤルマンの大武神フンサイオーと連戦連敗の長いトンネルから抜けたと思ったらぬか喜びだった悪だくみトリオのロボレオンのメカ戦が開始されようとしています」
ロボ戦に実況ネタは当時のプロレスブームに乗ったものなのだろうか。
確かあのレポーターとカメラマンはヤッテヤルマンの演出と脚本家の名前そのままだったはず。
つぶやきレポーターの実況で、大武神フンサイオーとロボレオンのメカ戦が開始された!
カーン!
「さて、先攻はロボレオンのようです。帽子の中からミサイルが撃たれました!」
「な、なんたることか! 余はあのような禿頭では無い!」
ロボレオンのハゲ頭を見たポナレオン本人が顔をゆで蛸のように真っ赤にして怒っている」
「ハハハハハ、まさか常勝の天才にそんな欠点があったとはな」
「オキルソン! 余はハゲでは無い!」
そう言っていたポナレオンが帽子を取ると、そこにはうっすらとハゲかけた河童のような薄い頭部になっていた。
ダメだ、ここでツッコミを入れるわけにはいかない。
ロボレオンは口から火炎を吐き、フンサイオーは、それを盾で受け止めた。
「なんのこれしき、正義の剣を受けてみよ。武神剣袈裟懸け斬り!」
フンサイオーが見事な剣技でロボレオンを切り裂くと、装甲がバラバラと剥がれ、中の骨格だけになり、そして崩れ落ちて頭部のガイコツカートだけが残った。
「ひえぇえー、今日こそは勝てたはずだったのにー、こんなのインチキだー! 何で木っ端微塵になったはずのヤッテヤルマンが生きてんだよー!?」
ここでどこからとなくナレーターの声が聞こえた。
「説明しましょう。実は、ヤッテヤルマンはロボレオンのミサイルで致命傷を受ける前にタイムバッシャーで未来にタイムワープした。そこで重症だったヤッテヤルマンは半年かけて治療をした後、強化改造された大武神フンサイオーに乗ってロボレオンのミサイルの爆発した少し後の時間にタイムワープして戻ってきたのだ!」
メカをバラバラにされた悪だくみトリオは、眼前に高くそびえ立つフンサイオーを見て、命乞いを始めた。
「お待ちください、フンサイオー様。私たちはもう悪いことはしません、心を入れ替えて正しく生きていきます。そう、野に咲く花のように」
「また始まったか、猿芝居!」
「「「コケーッ」」」
どこから用意したのか、悪巧みトリオはスイセン、ヤブカラシ、スギナに変装して芝居を始めた。
「たとえ踏まれても、枯れることなく見事な花を咲かせる、そんな生き方をしたいと思います。大武神フンサイオー様。ですからどうかお見逃しを……」
「その心がけを大事に野に咲く花として生きてゆくが良い、さらばだ」
フンサイオーは悪巧みトリオを見逃してやる事にし他その場を立ち去ろうとしていた。
「待て! この木偶の坊のウスノロ!! よくも私の大事なビジョーヌ様を酷い目に遭わせたな、このドクロマントが相手になってやる。覚悟しろ扁平足!!」
「何……なんだと!?」
せっかく立ち去ろうとしていた大武神フンサイオーの額の青いランプが赤く点灯を始めた。




