表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第三章 冒険者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/163

閑話 ボルドーさんのお店

 

「ボルドーを出せ」


 店に大店(おおだな)の店主が殺到して、今日は営業どころじゃなくなっている。


「3階の一番大きな商談室へどうぞ」


 フン。これで何人目だよ。

 服だけを見てマリー様をつまみ出した癖に。


 俺は平民の服を着ているのに、綺麗な白い肌やよく手入れされた髪、姿勢の良い立ち姿ですぐにピンと来たんだ。


 追い返したらダメな客だってね。


 しかも話し方は上級貴族のようでさ。慌てて水を出し、膝を突いたんだから。


 後でボルドーさんにも凄く褒められた。

 ボルドーさん(みずか)ら、教会まで送りに行くくらい、彼女は最初から特別だったのに。



 まさか聖女様だったなんてな。



 今じゃ彼女の私服も靴も日用品も、すべてうちの店で揃えてくれているんだ。

 同じ物が欲しいと、今後は依頼が殺到するだろう。


 あはは。ファーストヒールを貰ったのが嬉しかったんだってさ。

 あんな昔の事なのに、覚えていてくれたんだな。


 あの時はいくら相手がマリー様でも、黒神官にファーストヒールはやり過ぎだと思ったけど。

 やっぱりボルドーさんの人を見る目は凄いや。


 俺ももっと勉強しなくては。


 眉間(みけん)(しわ)を寄せた男が、また一人入って来る。

 はぁ。


「ボルドーは?」

「3階の一番大きな商談室へどうぞ」


 次から次へと、まったくもう。

 そろそろ商談室のお茶でも、取り換えに行くかな。



「だから紹介してくれって言ってるんだよ!」

「独り占めなんて、許さないからな!」

「ちょっと会わせてくれるだけでいいんだよ」



 あーあ。酷いもんだ。

 階段の途中でも、はっきりと聞こえてくるよ。


 聖女様に取り入ろうと必死なのは分かるけどさ。

 もうちょっと節度ってものがあるだろ。


「くそっ! まさかあの教会の子供が!」

「見る目がないお前が言うな!」

「追い返したあの者は、とっくに裏に回したわ!」


 おいおい。今度は大店の店主同士で喧嘩を始めたよ。

 お茶は下げた方がいいかもしれない。


「ボルドー、お前知ってて隠していた訳じゃないよな?」

「まさか! 皆さんと同じですよ」


 はぁー。そのやり取りも、見飽きてる。

 朝から何度目だと思ってんだ。さっさと下に戻ろう。

 

 気の毒に……とボルドーさんを見ると、目が合ってニヤッとされた。


 いや、やめて。


 突然ボルドーさんが立ち上がり、手をパン! パン! と大きく叩く。


「聖女様の担当は、10年前からずっとコーデンです。聖女様に御用聞きに行く際は、彼が一人だけ選んで連れて行きます。今後、交渉は彼と直接してください」


 全員が一斉に俺を見る。

 ちょっとー!! ボルドーさーん!!


 その後は、店主達にもみくちゃにされながら、なんとか順番リストを作成出来た。


 ボルドーさんに「さすがコーデンだな」と褒められたけれど、服はボロボロだし複雑だ。


 でも、ボルドーさんに聖女様の専属担当に任命されたんだ。あはは。


「やったー! 初めての専属顧客!」


 嬉しくて何度もひとりで飛び跳ねた。

 母さん、俺、聖女様の専属になれたよ!


読んでいただきありがとうございました。

※次回から、本編に戻ります。ぜひ、お楽しみください。

ブックマーク、評価、いいね頂いた方感謝です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
b8gg8nd6c8mu9iezk3y89oa1eknm_l3q_1cu_1xg_1p76v.jpg

3hjqeiwmi49q1knt97qv1nx9a63r_14wu_1jk_qs_6sxn.jpg
― 新着の感想 ―
コーデンくん、すごい……大出世!
[一言] 善良な人達は幸せになって欲しいよね 物語の中だけでも(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ