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聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第二章 教会編

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閑話 リリーの進路

 少し高台にある大きな木の下で、朝から空を見上げてぼーっとする。


 あーー、つまんないなぁー。


「なぁ、リリーは将来、どうするつもりなんだ?」


 まただ。

 キリカも私に面倒な事を聞いてくる。


 今が楽しければそれでいいじゃない。

 みんなして将来将来ってさ、バカみたい。

 その時になったら、考えればいいじゃない。


「言ったでしょ。魔法が使えないんだって。それともキリカがどうにかしてくれるの?」


 面倒だから、ちょっと悲しそうな顔をして見せた。

 するとキリカが真剣な顔をして、私に向き直る。


「うちはさ、家族全員で毎日、畑に魔力を注いで作物の世話をしている。一人でも多くの(みどり)持ちが欲しいから、嫁にするなら魔力量の多い(みどり)って言われてんだよ。ほかの家も(ほとん)どそうだ。ルディは魔法の先生になる為に、だいぶ前に村を出た」


「だから何なの?」


 キリカは困ったような顔をして、大きくため息をつく。


「だからみんな、ちゃんと将来を見据えて努力してんだって。リリーだって読み書きや計算が出来れば、役場で働くことも出来るだろ」


 こんな辺境の過疎地の村役場なんて、役場の仕事と手紙の配布、それに冒険者ギルドと教会の代理、要するに村全体の雑用係だもん。


 冗談じゃない。


 魔力量の極端に少ない人の職業だし、そんな人と結婚したくない。


「そういうの向かないって知ってるでしょ? いいの。全部、母さんが悪いんだから」


「俺だって出来ないけど頑張ってんだよ。楽な事ばっかりして誰かのせいにしてないでさ、少しは自分でも努力してみろよ。おばさんみたいに専業主婦なんて、普通はありえないんだぞ」


 努力しても魔法が使えるようになる訳じゃないし。

 何も出来ないのは全部、母さんと死んだ姉のせいで、私は関係ないもん。


 それに、色々やろうと思っても、ミーナが私より先にやっちゃって(ずる)いんだもん。


 だからミーナが持ってる物が全部欲しくなって。

 そうしたら泣きながら『ワースだけは取らないで』だって。


 いらないよ、そんなの。面倒くさい。


「だったらキリカが私をお嫁さんにしてよ。そうしたら少し頑張れるかも」

「急にそんなこと言うなよ。それでリリーが頑張れるって言うなら考えるけどさ」


 キリカが真っ赤になってそっぽを向く。

 ずっと前から私のことを好きなのは知ってるし。


「だめ?」

「……ダメじゃない。親を説得してみる。でも、リリーも料理と裁縫が出来るようになってくれよ。さすがに何もできないじゃ、説得できない」


「キリカが私に本気なら、説得出来るよね。私も母さんに相談するから」

「分かった。頑張る」


 キリカが少し震えながら、恐る恐る私を抱きしめた。

 ふふ。

 料理なら楽しそうだし、母さんに教えて貰おうっと。


これで、第二部 教会編は終了です。

読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
この妹自身が悪魔 なぜ討伐されずのうのうと存在し続けているんだ?
何でこんな年まで生きてんねん さっさと処分するべきだろうが 親が責任もてよ
[一言] ヽ(゜Д゜)ノ逃げて!キリカ逃げて!
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