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聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第二章 教会編

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お茶友カトリーナ

 上級貴族からのお茶会の誘いなんて、強制呼び出しじゃない。

 恐ろしい。何事(なにごと)かと思ったわ。


 とにかく今日の目的は果たした。

 機嫌も(そこ)ねず、薬草談議で楽しく終わり無事に帰ってこれた。

 私、よくやった。


 それにしても、エヴァスさんが親にどう説明したのかとても気になるなぁ。

 偽装婚約の話をしていなければ良いのだけれど。


 黒神官が上級貴族にそんな話を持ち掛けるなんて失礼すぎる。

 頼むよ、エヴァスさん。


 翌日エヴァスさんが昨日のお礼にと、()()()()で裏庭薬草庭園にやってきた。


 タイミング悪く、普段は夕方に来る、同じく()()()()で来たカトリーナとハーブを収穫(しゅうかく)している所に。


 いや、ふたりとも学校をサボっちゃダメだって言ってるでしょ。


「ジョセスカトリーナ様。ここで何を?」


 ジョセスカトリーナ様?


「エヴァスルーゼン。あなたこそなぜ?」


 学年が違うはずだけどふたりは知り合いなんだ。

 カトリーナの本名はジョセスカトリーナと言うのかな。


 珍しくあの執事があたふたしこの狭い裏庭でお茶会が始まった。

 なんだかふたりは仲が良くない様子。


「……」


 ただならぬ様子に私の危機察知能力が逃げろと言う。

 そっと姿を消そうとすると、執事に肩を(つか)まれ笑顔で圧力をかけられた。


 お、お前ってやつは……。

 私が困っている時に助けてくれなかった癖に……。


 執事と笑顔の攻防をしていると、エヴァスさんが「マリーもここに」と案内してくれる。


 い、居心地が悪い……。


「私はマリーの一番の友達なので、偽装婚約の話をしに来たのです」


 いや、意味が分からない。

 友達と偽装婚約はイコールじゃない。


「マリー。それ本当?」


 はは。カトリーナ、顔が怖い。


 話しぶりからカトリーナはエヴァスさんより身分が高そうなんだけど。

 一緒にレンガ積んでくれたカトリーナは何者なんだろう?


「……少し誤解があるようです」


 脳内パニックで、にっこり笑ってとにかく時間を稼ぐ。


 確かに偽装婚約をしてくれる人を探していたけれど、偽装婚約は断ったはず、とか話が複雑すぎる。


 というか、エヴァスさん。まさかあなた、お母様にそれを?


「私はマリーに色々頼られていますからね。一番の友達なので」

「まぁ、私の方がもっと頼られているわ。うふふふ。私達は戦友でしてよ」


 いや、今は目の前のカトリーナだ。

 私の可愛いカトリーナに、こんなドロドロとした話(妄想)を聞かせたくない。


「お茶会に呼ばれて、薬草の育て方のご説明に伺っただけですわよ。おほほほ」


 もう神官とか貴族とか分からなくなって、仕草もつられてお貴族様になってしまう。


「あら、お茶会という事は、もうご両親と?」

「いえ、それは違わないけど、違うのです」


 ダメだ。このままだとあらぬ方向に。

 少々過激な表現も出てくるが、誤解されるくらいなら多少変態でもいい。


 そして私はカトリーナに偽装婚約の経緯を、脳内妄想も含めてぶっちゃけた。


「……。そう言う事ね。で、偽装ね……」


 そうそう偽装。

 女子なら分かるよね、この気持ち。


「それなら私が盾になるから安心してマリー。だって私()一番のお友達じゃない!」

「カトリーナ!!」


 どう盾になるのかは分からないけれど、カトリーナの手を取って握りしめる。

 持つべきものは友。


 カトリーナ大好き。

 愛のない妾生活(脳内)から救ってくれた命の恩人。


 ふと見ると、エヴァスさんがワナワナして絶句していた。

 おおっと。私のぶっちゃけ脳内妄想の被害者がこんなところに……。


 なんかごめんエヴァスさん!


 それと、あとでフェルネットさんにカトリーナの身元調査を頼もう……。


 ---


「カトリーナがジョセスカトリーナ様?!」


 フェルネットさんに身元調査を頼もうと思ったらみんな知っていた。

 常識なの?


「だから、本名を知らなかったって、言ったじゃないですか」

「だからって、あのパシリにしてたカトリーナがジョセスカトリーナ様?」

「言い方!」


 むぅ。

 真冬にレンガを積む苦行を、一緒に乗り越えた戦友なのに。


 今もたまーに、ちょっと遠くの資材を、ちょっと走って持ってきて貰っているくらいだし。


 太りやすい彼女は、おかげでスリムボディを保てているといつも感謝されているのに。


「で、誰なんですか?」

「第3王女」


 なんでそんな人が黒神官服を着て、汚い肥料袋を肩に担いで走っているのよ。

 汚れるからって、黒神官服を着せたのは私だけど……。


「と、とても庶民派な王女様なのですね。力も強いし……ははは?」

「もう力仕事させるなよ。過去の事はなかった事にしとけ。それと、学校は二度とサボらせるな」


 確かに。

 授業は必ず受けさせよう。


 こうなったら家庭教師もしてあげよう。

 こっちは資料室のおかげで知識武装しているし。


「……そうだ。カトリーナが盾になってくれるって」


 パコン。

 師匠あざす。



 しばらくしてエヴァスさんのお母様から『離れに隔離された黒神官が息子と婚約したいなんて、二度と言わないように』といった内容が、かなり遠回しに書いてあるお手紙が届いた。


 エヴァスさん? ちょっと!


 まぁ、なんだかんだで丸く収まって、良かったのかな。はは。


読んでいただきありがとうございました。

※皆様のおかげで総合評価が1万ポイントを超えました。

 ありがとうございます! 今後もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
まさか調合してるので離れに住んでるとは思うまい……しかも6歳から 立場が上と聞いてまさか王女様?と思ったけど本当にそうだとは……けど戦友だからオッケーです!!……ということにしよう
偽装として婚約者として名乗っても良いよ?ってのを婉曲に書いたやつじゃないか?それ 主人公が、京都のぶぶ漬け食べますか的なやつだと思い込んで曲解したのではなかろうか
[一言] 冷静に考えたらNG行動ばかりしてておなかいたい 気安い仲でも他の人に見られてたら大事にされても文句言えねぇ…!?
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