花壇のレンガ完成
数日後、制服組のぽっちゃり系女子(おそらく一般人)が迷い込んでくれたおかげで、レンガを積むのが捗った。
この人手を逃すまいと、最初は戸惑う彼女を説得し、一緒にレンガを積んで貰う。
この単調作業は、独りじゃ飽きるし。
でも、流石にそのままじゃ制服が……。
「制服が汚れちゃうし、私の神官服に着替えましょうよ」
「いえ、そこまでは申し訳ないし……」
「遠慮せずに、こっち、こっち。洗濯に出せば、翌朝、綺麗になって戻って来ますし」
カトリーナは「じゃあ、お言葉に甘えて」と遠慮がちに黒神官服に着替えた。
ちょっとピチピチだけど似合ってるよ! カトリーナ!
「これで思いっきり動けるわね!」
カトリーナが黒神官服の袖をまくり、急にやる気を見せる。
楽しそうで良いけど、そこまで喜んでくれるとは。
「うふふ。無理しないで下さいね」
「もちろんよ。あの砂袋を、ここに運べばよろしいのよね?」
ははは。
カトリーナは私の黒神官服を着て、ドロドロの素が入った汚い袋を、肩に担いで走ったり出来ちゃう素敵女子。
「へえ、この薬草の苗はやけどの傷に良いの? すごいわね」
「そうなのです。この薬草は再生作用があるから、傷口に塗ると綺麗に治るのです。それに、こっちの薬草の苗は……」
私は彼女に薬草の種類や効能を、ここぞとばかりにオタク全開で解説をする。
カトリーナはそれを興味津々に聞いてくれていた。
お話しをしながらの作業は思っていたよりずっとずっと楽しい。
私たちは話すうちにとっても仲良くなっていった。
それにしても、彼女は本当に一生懸命だった。
レンガを運んだり、土を掘ったり、ドロドロを作ったり。
何が彼女をそうさせるのか……。
「カトリーナ!」
「マリー!」
そう、私達はレンガを積み終えたのだ!
後は既に作ってある土を入れ、発芽させた苗を植えるだけ!
やっと、やっと、念願の薬草が育てられる!
「やっと完成しました!」
「完成しちゃいましたね」
週に2日も午前中、学校をサボらせてごめんね。
代わりに計算や読み書きは教えたけど、他に出来る事があれば何でもするよ。
ひと月で完成したのは、すべてカトリーナのおかげだもん。
「カトリーナがいてくれて、本当に楽しかったです」
「マリーのおかげでダイエットが順調よ。見て! すっかり神官服がブカブカなの」
カトリーナが神官服のお腹の辺りを引っ張って見せる。
あ……。確かに少し痩せてる……。
あんなにピチピチだった神官服にゆとりが出来ていた。
「すごく綺麗になりましたわ」
「ありがとう。マリー。目標まで頑張るわ」
ふふふ。こっちがありがとうなんだけどね。
「また時々来ても、よろしいかしら?」
「もちろんです! お友達じゃないですか!」
「お友達になってくださるの?」
「私達は、お友達を通り越して戦友ですよ!」
カトリーナの為に、ここにハーブも植えよう。
ミントやカモミールもいいな。そんなハーブを探してみよう。
「お茶会が出来るように整備しますね」
「楽しみにしておりますわ」
少し痩せて綺麗になった彼女は、私の部屋で制服に着替えると、どこかのお姫様みたいに見えた。
絶対に魔力を使わずに、薬草を育てて見せるのだ!
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