裏庭リフォーム
私の任された裏庭は、すっかり綺麗になった。
いや、綺麗になりすぎて、ただの更地だ。
ごみを捨て、落ち葉を捨て、雑草抜き、強力なツタも花壇の枠も撤去した。
庭師のドーマンさんに、プロ用の道具を自由に使わせて貰えて本当に助かった。
ここに私の癒し空間を作って見せる。
はぁ、夢が広がるなぁ。
こうやって見ると、薄暗かった裏庭はかなり明るい。
全部あのツタのせい。
あいつは本当に厄介だったし。
無理せず作業したので、3月以上もかかってしまった。
私以外、誰も急いでいないのだけど。
喜び勇んで購入した種は、まだまだ出番がないけどね。
うふふん。楽しみ、楽しみ。
図書室で借りた植物図鑑を参考に、苗に最適な土の成分を調査済みだもん。
それで、3等分に花壇を分けようと決めた。
木の棒で線を引き、花壇の位置決めに頭を悩ませる。
日当たりも考慮したいし、荷物の搬入経路や動線も確保して……。
結局、前に花壇があった跡地より少し大きめな楕円を書いた。
土の成分を変えるのに、魔法があれば簡単なんだけどなぁ。
でもハートさんから魔法禁止令が出てるし、あとで肥料を買いに行くとして……と。
その前にレンガで周りを囲んで、区分けの線も引きたいな。
これも土魔法があれば簡単だけど、魔法なしで自力で頑張る。
よし、まずはレンガの調達だな。
私はドーマンさんを探して表の庭園に出ると、同年代の黒神官達がキャッキャウフフと楽しそうに遊んでいる。
ここは平和だなぁ。
丁度そこに梯子を抱えて歩く、ドーマンさんの姿を見つけた。
「ドーマンさーん」
大きく手を振ると、にっこり笑って手を振り返してくれる。
ドーマンさんに駆け寄り「レンガください」と言うと豪快に笑い、理由も聞かずに、後で裏庭に運んでくれると約束してくれた。
翌日、思いもよらない量のレンガが裏庭に出現し、流石の私も苦笑い。
千里の道も一歩から。
まずはレンガを並べよう。
積んでみたら、なんか思ってたのと違う。
タイルの目地材みたいな、何かが必要なんだ。
もしかして、この袋の中の白い粉?
困った時のドーマンさんに相談したら、作り方を教えてくれた。
レンガ奥深い。
翌日、教えて貰った通りに水を入れながら棒でかき混ぜ、何とかドロドロを完成させる。
ふぅ、風が冷たくて耳と手が死ぬ。
でも、気持ちが先走ってやめられない。
ドーマンさんに言われた通りにレンガ積み、お昼の鐘が鳴る頃には体がガチガチだ。
続きは明日かな。
春までには完成させて、苗を植えたいな。
うふふふ。
読んでいただきありがとうございました。
ブックマーク、評価、いいね頂いた方感謝です!
誤字報告、本当に本当にありがとうございます!!





