マリーの休日
今日は休日なので、ハートさんの魔獣狩り見学だ。
まぁ、親子で遊んで来いってガインさんに、家から追い出されたのだけど。
なので冒険者ギルドで、簡単な依頼を探しに来た。
「よう」
厳つい冒険者が、ハートさんの前に足を出す。
いつものように、ハートさんがその足を蹴り上げる。
「いってぁなぁ」
「フン。マリー、ゴバスと一緒にちょっと待ってて」
「はーい」
私はすごく体が大きくてちょっと顔が怖いゴバスさんに抱っこされ、厳つい冒険者さん達のおもちゃになる。
「マリー。何か欲しいものはあるか?」
「こんな顔の怖い奴、嫌だよなー。こっちおいでー」
全員の顔が怖いから何とも言えない。
そんな人達に猫なで声で、顔をプニプニされるから笑うしかないけど。
「ふふふ。みんなが怪我をしないで、戻ってきてくれたら嬉しいな」
面倒だからにっこり笑って、殺し文句で黙らせる。
「うぅ。マリーは本当に良い子だなぁ」
「ハートみたいな冷たい男に、なんでこんなに優しい娘が……うう」
「おじちゃん、マリーの為なら何でもするからな」
おじさん達がおろおろと泣き出した。
やばい。やり過ぎた。
助けを求めてハートさんを見ると、依頼掲示板の前で色っぽいお姉さんとイチャイチャしてるし。
もう、いっつもそうなんだから。
「よーし、マリー。そろそろ行くぞー」
「はーい。じゃーねー」
厳ついおじさん達に手を振り、ハートさんに抱っこされ、冒険者ギルドを出た。
「ふふふ。モテモテじゃないですか」
「マリーもな」
いや、意味が違うし。
さっきのお姉さんからお弁当を貰ったので、後で食べようだって。
「私、お母さんが出来るのですか?」
ゴッ!
頭をチョップされた。
「いたっ」
「そんなわけないだろ」
「だってー」
「心配するなって。そういうんじゃないんだ」
別にお母さんが出来てもいいんだけどさ。
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近くの森で日向ぼっこをしながら、ハートさんが弓でウサギを狩る姿を見学。
はぁ、木漏れ日が眩しいな。
「結界を張っているのですから、もっと遠くでもいいのですよ」
「今日はフェルネットが来れなくて俺一人だからね。依頼も一角ウサギの肉だし」
そっか。レベル上げより私の安全が優先なんだ。
まぁ、このウサギさんは美味しいから。
今日は外泊許可もあるし、夕飯はウサギさんかな。
「そういえばフェルネットさんって、今日はどうしたのですか?」
「んー。多分ガインさんからの、説教か稽古かな」
ぷぷっ。また何かしでかしたんだ。
「似た者親子ですよね」
「フッ。ほんとだな」
ふたりとも悪ガキだもんね。
ふふふ。この間のフェルネットさんの家族の話は笑ったな。
「あの、ハートさんのご家族の事って、聞いても良いですか?」
「ああ。死んだよ。冒険者に殺された」
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