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聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第二章 教会編

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教育係のノーテさん

 

 トントントン。

 ……。

 トントントン。


 え、え、どうしたらいいのかな。

 あのおじいちゃんの部屋の時は、ノック3回で中からドアが開いたんだよね。


 恐る恐るドアを開けてみる。


「遅い!」


 ひぃ。


 白神官の、神経質そうな30歳くらいの女性に、いきなり叱られた。


「ま、自分で気が付いて、ドアを開けたのは褒めてあげましょう」

「はい」

(わたくし)はノーテと申します。あなたの教育係です」


 ノーテさんは両手を前で重ね、軽く腰を落として挨拶する。


「マリーです。よろしくお願いします」


 私も同じように真似して挨拶すると、ノーテさんは満足そうに口角を上げた。



「ついていらっしゃい」


 ノーテさんと雑談をしながら後を付いて行くと、ごみや落ち葉だらけの、汚くて薄暗い裏庭に着く。

 私は今後の為に [ノーテさんは歴史や地理の話題が好き] と死ぬ気で脳内にインプットする。


「今日からはここが、あなたの清掃担当の場所です。ごみで今は見えませんが、一応花壇もあります。手入れしておきなさい。つぎは……そうですね」


 なぜか私を値踏みをするように長い時間見つめた後、ずんずんと歩き出し、正門前の一番大きな建物に入った。


 中には白神官に混じり、私服の大人も沢山いて、普通に働いている。


 廊下をどんどん進み奥の扉を抜けると、狭くて暗い階段を降りて “資料室” と書かれた扉の前で止まった。


 扉を開けると、本や資料が山積みで、書類の入った箱も乱雑に積み上げられ、言われなくてもやることは理解できる。


「読み書きも計算も出来るって、先ほど言ってたわよね?」

「はい」


 言わなきゃ良かった。


「ではここを整理しなさい。今後の一日のスケジュールも、休日も自分で決めなさい。朝食は2の鐘、昼食は4の鐘、夕食は6の鐘。9の鐘が門限です。門限だけは問答無用の絶対厳守です。外出するなら私に声をかけなさい。外泊申請は5日前までに提出。質問は?」


「ありません」


 流れるような説明に “もう一回言って” とは言い出し辛い。

 ま、何とかなるかな。


「私物でも日用品でも、欲しいものがあれば申請しなさい。今日はこれで自由時間です。明日からきっちり働いてください」


「はい」


 そうして私の新しい日常が始まった。


 一日のスケジュールは、こんな感じで決めて提出した。

 休日は後で決めよう。

 教会の鐘がいい感じで鳴ってくれるので、それに合わせる事にした。


 --------------------

 1の鐘で起床、身支度

 2の鐘で朝食、その後は裏庭の掃除

 4の鐘で昼食、その後は資料室の整理

 6の鐘で夕食、その後は入浴、自由時間

 7の鐘に送迎登録者ハートさんが迎えに来た時だけ外出

 9の鐘は門限

 就寝までは自由時間

 --------------------


 実はあの後の自由時間に、お母さんに渡された地図を見ながら、一人でおじいさまに会いに行ったのだ。


 門限前にハートさんと教会に戻ると、門の前で仁王立ちしていたノーテさんにめちゃくちゃ怒られた。


 そして外出の為の手続き(送迎者ハートさんの登録と証明書の発行)をその場でして貰った。


読んでいただきありがとうございました。

評価、いいね、ブックマーク頂いた方感謝です。

誤字報告ありがとうございます!!

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