表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第二章 教会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/163

教皇様と初対面

 お城みたいに広いなぁ。


 白い女性神官さんの先導で、副団長さんに抱っこされたまま、団長さんと共に庭園をどんどん抜けていく。


 建物に入り長い廊下を抜けた後、素敵な装飾のある扉の前で止まり、副団長さんは私を下に降ろしてくれた。


 それを確認した白い女性神官さんが、扉を3回ノックする。

 すると、内側から扉が開かれた。


 戸惑う私の背中を団長さんに押され、中に進むと二人が私の後に続く。

 両脇で二人がスッと片膝(かたひざ)を突いたので、同じようにして頭を下げた。


「頭をあげよ」


 顔を上げると、少し偉そうなおじいちゃんが、しかめっ面で豪華な机の上で手を組んでいる。

 すぐに後ろで扉が閉まる音がした。


「ふぅ。もうよい。自由にせい」

「「はっ!」」


 団長さん達は急に立ち上がり、ソファーにどかどかと座りだす。


 私もつられてソファーの前まで来たら、後ろからおじいちゃんが私を抱き上げ、団長さんの向かい側に座らせてくれた。


 男性の白神官さんが、優雅な仕草で紅茶を入れ、ソファーの後ろに下がると、おじいちゃんは私の隣にゆったりと座る。



「おぬしがマリーか……随分と探したぞ」


 おじいちゃんが疲れ切った顔で笑う。


 逃げ回っちゃってなんかすみません。

 とりあえず愛想笑いをしておく。


「まぁよい。一番苦労したのはそのふたりじゃ」


 団長さんたちは、疲労に満ちた顔で力なく笑った。



「それにしてもよく生きておった。どれほど心配したことか。しかも思ったより元気そうじゃな」


「はい。S級冒険者さん達との旅はとても快適で、ちっとも大変じゃなかったのですよ」


「なるほどな……。体調を崩したりは?」


「私のペースで進んでくれましたし、薬草の調合の知識も豊富で、村にいた時より手厚かったです」


「さすがはS級冒険者だな」


 三人は顔を見合わせて頷きあっていた。


「そうじゃ、ステータスをフルで見せよ」

「ス、ステータスフルオープン」とドキドキしながらペンダントを握る。


----------------------------

 マリー 女 6歳 光適性

 Lv.1


 HP 10/10

 MP 5/5


 緑属性Lv.1


 加護


 緑の精霊

-----------------------------


 おお。上手く偽装できてる。良かったー。


「うむ。思った通りじゃな。魔法が使えず心細かったじゃろ。じゃが安心せい。おぬしの母親から依頼を受けたので、成人まではここで保護することが決まったのじゃ。教会の敷地内なら身の安全が保障できる」


「はい」


 ん? 身の安全?


「孤児やおぬしの様に、親から預けられた子らと一緒に、おぬしに合いそうな仕事を選んでおくので、色々勉強するのじゃ」


 なるほど、やっぱりだな。

 お母さんが依頼したのなら、未成年の私にはどうすることも出来ないんだ。

 よし! 学校はすっぱり諦めて労働しよう。


「外に出ることは可能ですか?」

「もちろんじゃ。最初に手続きを済ませる必要はあるが、外出に制限はない。門限があるから気をつけよ」

「はい」


 え? なんと!

 制限ないんだ。自由なんだ。


「団長も副団長もわしも、おぬしの味方じゃ。困ったことがあれば相談せい」

「ありがとうございます」


 いきなりすごいコネを手に入れたけど、このおじいちゃんは誰なんだ。

 部屋を出ると団長さんたちと別れ、待っていた白い女性神官さんに、別の建物に連れていかれる。


----


「今日からここがあなたのお部屋よ。服はこちらを着てね。後ほど教育係が来るので、中でおとなしく待っていてね」


 そういうと、優しそうな白い女性神官さんは部屋を後にした。



 大人神官は白服だけど、子供は黒服だ。


 黒神官は孤児か親に捨てられた子供、成人したら教会から卒業する。

 白神官は試験に合格したエリート、まぁ高級官僚みたいな身分だ。


 だから同じ神官でも、白と黒とは全然扱いが違う。



 一人部屋をもらえて良かったけど、ゆっくりしていられない。

 急いで渡された服に着替え、私も黒い神官に変身。



 今日から黒神官だ。



 それにしても……。あードキドキした。

 私はフェルネットさんから貰ったペンダントを、ギュっと握る。


----

「これは盗賊や犯罪者がステータス偽装に使う、違法なペンダントなんだ。絶対に見つからないようにするんだよ。設定はしてあるから心配しなくていいからね」

----


 そう言って私の首にかけてくれた。


 こんなの、闇取引でしか手に入らないじゃない。

 下手したら、今回の私の依頼料より高そうなのに……。


 本当は入学祝いだったのにって、少し照れて笑ってた。

 

 フェルネットさん、ありがとう。


読んでいただきありがとうございました。

評価、いいね、ブックマーク頂いた方感謝です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
b8gg8nd6c8mu9iezk3y89oa1eknm_l3q_1cu_1xg_1p76v.jpg

3hjqeiwmi49q1knt97qv1nx9a63r_14wu_1jk_qs_6sxn.jpg
― 新着の感想 ―
どうやって偽装したのかと思ったら激ヤバアイテムだった件
[一言] 凄く凄く楽しみです 今日読み始め 3回読んじゃいました 待ってます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ