最後の約束
カンカンカンカン。
「ほら隙あり」
「そう来ると思ってました! うげっ」
不意打ちを防いだのに、体勢を崩したところを足払いされて仰向けに転ぶ。
回復魔法が使えると知ってからのハートさんは、マジで容赦しない。
「ほらほら、すぐ起き上がらないと。魔物は待ってくれないぞ」
「ふんが!」
小さいながらも、それを生かす攻撃があるんですよ!っと。
自分に回復をかけてから、起き上がりざまにハートさんの足に狙いを定め……た、つもりが一瞬で距離を取られた。
くぅ! おしい!
「いい攻撃だ!」
そういいながら一気に距離を詰められて、ダメだ打たれる! とぎゅっと目を瞑る。
……ピン。
デコピンされた。
「ははは。なんて顔してんだ」
「だって、速すぎて見えなかったんですよ。むぅ」
おでこを両手で抑えてぷんぷんする。
「子供同士の喧嘩なら、マリーはもう誰にも負けないよ」
ハートさんは私の手から剣を回収し、紅茶を入れてくれた。
そしてゆっくりと椅子に座る。
なんとなく、まじめな話になるのだろうなと予想して姿勢を正す。
「マリーが魔法も剣も絶対に悪い事に使わないのは知っている。でも、その力は誰にも見せてはいけないよ」
「それは、大切な人や、自分の身を守る為にもですか?」
「ああ禁止だ。俺達が必ず守る。目立てば守り切れない」
「はい」
「今後は魔法も剣も使わず生活しろ。頭使え。情報と人脈を武器にしろ。それを学校での課題にしような。俺達もずっと王都にいるから相談に乗るよ」
「はい!」
頭使え……。人脈と情報を武器に……。
今までで一番難しいな。
ハートさんは「そんなに難しい顔をするな。フェルネットの良い所だけを参考にな」と、いつもの様に優しく笑う。
これはガインさんが、ハートさんに言わせたんだと思う。
だからこれは、絶対に守らなければいけない事。
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夜遅くにフェルネットさんが戻って来た。
遅いから早く寝ろと言われたけど、みんなは遅くまで話をしていたみたい。
何があったんだろう。
ちょっと不安だな。
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