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聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第一章 旅立ち編

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夜空

「眠れないのか?」

「ガインさんも?」


 星がきれいだなーって夜空を眺めていたら、ガインさんが毛布を持って来てくれた。


「ほれ」


 毛布でぐるぐる巻きにされて抱っこされる。

 ふふ、あったかーい。

 ここはお父さんがいっぱいだ。


「マリーはさ、爺さんの所に着いたら何をするんだ?」

「王都の学校で農業について学ぶ予定です。でも当初の予定と大分(だいぶ)狂ってしまって、少し戸惑っているのですよね」


「当初の予定?」

「魔法を使わずに、薬草を育てるってやつです」


「あれネタじゃなかったんだな」とガインさんがフッっと笑う。


 大まじめですよ。

 まったく。


「なんで薬草なんだ」


 そういや、なんで薬草を育てなきゃと思ったんだろう。

 ……あ、そうか。


「ふふふ」

「どうした?」


「お母さんに言われたのですよ。加護の部屋から出てすぐに。双子の妹が聖女になるから、私は薬草を作って支えてあげるのよって」


「それって……」


 ガインさんがギュっとしてくれる。


「その時は、事情を知らない母親の話を受け入れるしかなくて。でもなぜか、それが使命みたいに刷り込まれちゃったみたいです。私も今、気が付きました」


「お前は見た目よりずっと大人だな」


 どうなのかな。

 今思うと極度のストレスに(さら)された中で命令され、強い洗脳状態にあっただけな気がするけど……。

 あの家族の事は、もういいや。


 うふふ。ガインさんがお父さんだったらなぁ……なんて。


「でもまさか全属性の魔法が使えるとは……ですよ。ガインさん達には感謝しかないのです」

「フン。お前が頑張ったんだ」


 旅の終わりが見えてきてから、あえてみんなが避けてきた話題。

 旅が終わって私は何を目的に生きるんだろう。

 加護が無くても生きていく覚悟は出来ていたのに、急に開かれた未来。


「こんなに素敵な自由を知ってしまうと、色々と贅沢になってしまいますね」


「そうだ。自由に生きろ。出会った頃みたいな、あの作り笑顔のマリーを見たら笑うぞ」

「ふふー。私もです」


 ガインさんがあやすように体を揺らしてくれるから、だんだん眠くなってそのまま寝てしまった。



「お前はどんな大人になるんだろうなぁ。お前といるのが楽しくて、つい旅に時間をかけ過ぎちまったよ」


 ガインさんの優しい声が、夢の中で聞こえた気がする。


読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
このままパーティーの一員として一緒に旅をする。それが一番幸せなのではと思ってしまう。
[気になる点] 姉の加護戻せる 手はずがないのに (おとぎ話と言ってる 何故教会が確保しようとしてるのか 不明ですね 光属性の適正を見込んだ シスター(孕み腹?)として 教会に確保するため?
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