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聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第一章 旅立ち編

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山越え開始

 安全な通常ルートの山道を使わず山越えをする為、荷馬車や不必要な荷物を行商人に売ることになった。


 それでも荷物が多いと思っていたら、フェルネットさんが任せてって。

 何かと思ったら私に闇属性の空間魔法を展開させて、そこに荷物を放り込む。


 ちょっと?


 恐ろしいほどの魔力を使って、全部の荷物が入ったけどなんか複雑。



 異世界アニメではおなじみのアレも、この世界じゃ全然お手軽じゃない。

 私の桁外(けたはず)れの魔力量がなきゃ胸ポケット以下だわ。



「いやー。やってみるもんだなー」

「フェルネット……。いや、お手柄だな」

「お前さんの、楽する事()()に回る頭は流石だな。はっはっはっ」


 フェルネットさんが何故か得意げなんだけど。

 やっぱりなんか腹立つな。



「手荷物がないからマリーを抱えて歩けるな」と、すっかり私のお守担当になったハートさんが抱き上げてくれる。


 わーい、らくちんらくちん。

 あははは。空間魔法ばんざい。



「マリー、危なくなったら自分に結界を張って、自分の身を守れ」

「はい!」


 もう、私を守りながら戦うリスクはかけさせませんて。



「荷物がなくなったから、山越えは最も険しい最短ルートに変更しようと思うが、みんなの意見は?」


「いいね」

「追っ手をまくには最適だ」

「かなり時間短縮できるし、その分嬢ちゃんの修行に時間を使えるな」


 みんなが楽しそうに私を見る。

 いや、それはどうかな。


「よし。この先は今までの森の魔物と違って、強い魔物が多く生息する。みんな注意を怠るな」


 こういう時のガインさんは男前だ。

 普段はガサツだけど。



「マリー。索敵出来るか?」


 ハートさんにそう言われて頷くと、抱き上げられたまま前に少し習った索敵魔法を使った。


 生命反応が多すぎて、どれとエンカウントするのか全然わからないんだよね、これ。



「いることはいるんですけど、虫とか鳥とか小動物が沢山いるので、どれが警戒すべき生体なのか判断付きません」


「そっか。じゃあこれから毎日索敵をしながら移動ね。そのうち不必要な情報をカット出来るようになるから」


「はい!」



 なるほど。

 こういうのも慣れなのか。

 ただ全部見えれば良いって事じゃないもんね。




「あの……だんだん気持ち悪くなってきたんですけど」

「索敵酔いだ。慣れたら気にならなくなる。気にせず続けろ」


 索敵酔い? なにそれ聞いてないんですけど。

 なんか目が回るよ。

 いや、気にせず続けろって、気にするわ。




 するとハートさんが「自分に結界を張って、ここから絶対に動くなよ」と、そっと私を降ろす。


 一気に緊張感が増して、すぐさま自分に結界を張り全員に身体強化と守りの魔法をかけた。



 みんな黙って目だけで合図している。




 ぐわぁぁぁ。


 うわ出た、寝起きの熊さんだ。


 二階建てくらいの大きさの熊だ。



 あまりの恐怖と驚きに、酔いも覚めた。


読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
き、きっと5歳児だから大きく見えるだけなんだ……に、2階建てのクマとかくまぁぁあああああああ!?!?
遅ればせながら読者になり パパ達に萌え萌えしています このままずっとこのパーティーにいて欲しいなぁと思うくらい好き
[一言] みんな、時になかなかスパルタだけど、愛されてるねぇ(*´▽`*)❤️
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