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社畜おじさん、仕事を辞めて辻ヒーラーになる。  作者: 七渕ハチ
第三章前半『おじメダル配布作戦』

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99/155

第99話 フィナーレと重要なお知らせ

『今ので最後です』


『了解でござる!』


 イベントも二日目の終盤。金のメダルが全て配れたため、コヨミさんに連絡する。時間ぎりぎりになったのは手心調整によるものかもしれない。


「あれ、どこ行った?」


「木の陰にもいねー」


「あ! 看板に終了って書いてある!」


 変更した看板がすぐに見つかる。人の波に飲み込まれないよう急いで移動。隠れて透明化を解除し周りに紛れた。作り続けた銅のメダルも品切れで、後はホームを眺めながら終わりを待とう。


『ナカノ殿、お疲れさまでした!』


『コヨミさんもお疲れさまでした』


 合流したところ触手頭を外してマント着ている。今は鎧姿だけでも混乱を招く可能性があった。


『二日とはいえ、あっという間でござったな』


『本当にそうですね』


 やりたいことを実現できた達成感に加え、訪れてくれたプレイヤーが十分に楽しめたか不安が残る。アンケート用紙を置くのも手だったか。


 荒れたままの畑ではなぜかキャンプを行ったりと自由だ。テントを張ってバーベキュー用のコンロを出し、人が自然と集まっている。騒がしさは控えめで和気あいあいな空間だった。


 きっと、こちらで始めから用意したとしても野暮に思われるのがオチ。年齢はともかく、ゲームにおいては先輩ばかり。遊びも任せた方が上手くいくことはあった。



≪間もなくイベントが終了します≫



 システムメッセージが流れると、にわかに活気が増す。


「畑で準備しまーす!」


 何をと疑問になる声が聞こえてコヨミさんと顔を見合わせる。すると、察したのかなんなのか。数人のプレイヤーが畑に向かい、他は道を挟んだ側で待つ。


『ふむ、我々も楽しませていただきましょう』


 慌てる必要はまったくないので少し後方に立つ。すでにエリアは時間と共に暗くなって、キャンプの明かりが消えると夜が深まった。


「そろそろ始めまーす!」


 謎の合図に皆がしんと静まる。



――ポン!



 気の抜けた音が聞こえて光の筋が畑から上がった。印象的な風景にこれはもしや、と感じ取る。



――ドン!



 心地の良い破裂音が身体に響き、真っ暗な空に光が花開いた。リアルに負けず劣らずの迫力と華やかさ。いつぶりかの花火だ。


「たーまやー!」


「かーぎやー!」


「おーじやー!」


 歓声に続いて次々に打ち上がる。こんなに近い距離で観賞できるのもゲームならでは。煙が少ないため十二分に楽しめた。


『風流でござるな』


『いいものを見れました』


 本来であれば招く側が仕込んでおくべきレベルの締め括り。イベントの終わり方までは考えておらず、最後にも反省と勉強だ。


 ありがたいことにホームは今も混雑中。花火を上げるプレイヤーたちが示し合わせるのは難しい。おそらく定番の賑やかしアイテムなのだろう。ここで贅沢に使ってくれて感謝だった。



――ドンドン、ドドーン!



 まさにフィナーレという矢継ぎ早の花火に沸き立つ。カウントダウンを始めるシステムメッセージも目に入らなかった。


 しかし、だからといって延々には続かない。せっかくなので絶景を直接堪能しつつも、適度にスクリーンショットで記念を残す。刹那的になり切れないのは歳のせいだと、意識するのも引っ張られすぎか。



≪イベントの終了に伴い転送が行われます≫



 鳴りやまぬ花火の音に重なる歓声が遠くなり、浮遊感を覚えると視界が一方向に伸びた。変化は一瞬で元のホームにすぐ戻って来る。


 周りで騒ぐプレイヤーはいなくなって、隣にコヨミさんがいるだけ。夜空には星が輝き静けさに満ちていた。



≪運営よりお手紙が届きました≫



 妙なタイミングでの通知だ。メニューを開いて確かめたところ、次回イベントについての重要なお知らせ、と何かドキリと思わせるタイトルだった。




 ◇




【DAO】イベント会場Part11【第三回】


 42 名前:名無しの古代人

    ついに終わってしまった


 43 名前:名無しの古代人

    交流イベントで考えればな

    まあ良かったんじゃね


 44 名前:名無しの古代人

    果たして生産は輝いたのか


 45 名前:名無しの古代人

    大手のPVPに引っ張られた感


 46 名前:名無しの古代人

    ランダム訪問なら色々見て回れたろ

    こだわってたのも多かったし


 47 名前:名無しの古代人

    参考にしたい内装はスクショ済み


 48 名前:名無しの古代人

    内装アイテムは売れてそう


 49 名前:名無しの古代人

    マーケットで売れ筋を見れるぞ

    やっぱ最近の履歴だと多くなってる


 50 名前:名無しの古代人

    売れてなんぼ

    お得意様ができればあがり


 51 名前:名無しの古代人

    特定のプレイヤーに頼むのはな

    懇意になるハードルは高い


 52 名前:名無しの古代人

    紅騎士団とかのお抱えに頼んでみたい


 53 名前:名無しの古代人

    それは逆に仲間内すぎて

    一見さんはお断りされそう


 54 名前:名無しの古代人

    妖精おじぐらいのユニーク性があれば


 55 名前:名無しの古代人

    たとえ自分を売り出したとてだ

    有名になるのは運次第


 56 名前:名無しの古代人

    おじのホームは興味本位に行ったもんな


 57 名前:名無しの古代人

    話題になるのはでかい


 58 名前:名無しの古代人

    俺も終了時刻に合わせて訪問予約した

    無事に花火を打ち上げられたわ


 59 名前:名無しの古代人

    複数人が花火を用意してたね

    かなり盛り上がってたよ


 60 名前:名無しの古代人

    終わりに訪れる発想はなかった


 61 名前:名無しの古代人

    やっぱ人気があると強い

    賑やかし目的で行くのもいるし


 62 名前:名無しの古代人

    なんか次回イベントのチラ見せ出てる


 63 名前:名無しの古代人

    攻城戦?


 64 名前:名無しの古代人

    絶対にPVPですやん

    規模が大きそう


 65 名前:名無しの古代人

    今回のイベントが影響するってさ

    訪問者が多かったホームが登場?


 66 名前:名無しの古代人

    城は紅騎士団ぐらいしかイメージない

    それもほぼ未完成だし


 67 名前:名無しの古代人

    生産イベは前座だったのか


 68 名前:名無しの古代人

    次を絡めるのはありでしょ


 69 名前:名無しの古代人

    訪問者の数かー

    優遇されてる印象が出ちゃうな


 70 名前:名無しの古代人

    そりゃトップ勢は目立つもん

    活躍した報酬だ


 71 名前:名無しの古代人

    最近はゲームの顔が意外と大事

    内輪ノリと言えど外ばかり見てもね


 72 名前:名無しの古代人

    何はともあれ闘争が戻ってきた


 73 名前:名無しの古代人

    闘争勢はいつになっても元気だな

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