表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜おじさん、仕事を辞めて辻ヒーラーになる。  作者: 七渕ハチ
第二章『回復代行結社でござる』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/155

第80話 最後の耐久戦

『デスコさんが死んじゃいましたよ!』


『残念』


 紅とブルースはパーティメンバーのゲージ表示から、デスコの体力がゼロになったのを知る。


『アイテムを使ったほうがよかったのでは!?』


『連絡がなかった』


『むぅ……私たちが声をかけるのはダメだったんですか?』


『デスコは戦闘中に余計な声がかかるのを嫌う。たぶん、彼女なりのプランでは回復が不要だった』


『でもー……』


『タダではやられない。わたしたちは、ここで古代の遺物を使って向こうへ行く』


『そっか、きっと待ち構えてたプレイヤーさんを倒してくれたんですよね!』


『復活するには死んでる時間が必要。タイミング次第では窮地に立つ』


 ブルースは会話の最中にも回復魔法でダメージのケアを行う。


『デスコさんとは違って、私には事細かな指示が必要ですからね!』


 そして、紅の腕を引いて縋り付いた。


『誰も来ないのを前提に、精神力が追い付かなくなるまでヒール。次に古代の遺物で回復後に移動を始める。マナポーションのクールタイムを考えながらイベントアイテムを消費、ブルースへの回復を控えて先に死んでもらう。復活後に体力や精神力、クールタイムが戻ってくれることを期待して耐久を続ける』


『わ、わかりました……けど、行動の前にまたお願いします……』




 ◇




【DAO】イベント会場Part12【第二回】


434 名前:名無しの古代人

    まさかの相打ちとは


435 名前:名無しの古代人

    やっぱ二人ともトリッキーだった


436 名前:名無しの古代人

    色々とわからんことが多い

    死んだように見えて体力が戻ったのは何?


437 名前:名無しの古代人

    忍者なのを考えると変わり身の術的な?


438 名前:名無しの古代人

    詳細は謎だがインチキ一歩手前の効果だ


439 名前:名無しの古代人

    さすが忍者きたない


440 名前:名無しの古代人

    触手頭は普通に死んでたな

    店売りのスキルじゃないやつ?


441 名前:名無しの古代人

    ドロップだと大所帯が強いね


442 名前:名無しの古代人

    地面はアイテムとかで影響を与えられるんだ


443 名前:名無しの古代人

    妖精おじが埋まった穴もそれで作ったのかな


444 名前:名無しの古代人

    スキルの中にもあるぞ

    戦いに組み込もうとは思わんが


445 名前:名無しの古代人

    最後の爆発と言い手札の多さに感心する


446 名前:名無しの古代人

    変わり身を調べたら関連で気になるスクショが落ちてた


    【一度きりの身代わり人形】

    『種類』特殊アイテム

    『説明』一度だけ死を回避できるイッカクガエルの人形

        世界に一つしか存在しない奇妙な呪物

        この人形は死へ祈りを捧げる者たちへの反証である

        所持することで身代わり人形のドロップ率がゼロになる

        アイテム欄から移動することができない

        効果を発揮すると壊れる


447 名前:名無しの古代人

    変わったアイテムだ

    効果はまさにだし持ってたっぽい


448 名前:名無しの古代人

    所持で発動するのなら優秀過ぎる


449 名前:名無しの古代人

    説明的にトレードすら無理そうだ

    入手方法はドロップオンリー?


450 名前:名無しの古代人

    検索でのヒットは上のだけ

    世界に一つしか存在しないってのは


451 名前:名無しの古代人

    ワールドアイテムかこれ


452 名前:名無しの古代人

    イッカクガエルの部分が別モンスターなのは見た


453 名前:名無しの古代人

    ほなワールドアイテム違うか


454 名前:名無しの古代人

    モンスターごとに存在する可能性はある


455 名前:名無しの古代人

    報告が少なすぎる

    ドロップ率の設定はかなり低いんだろう


456 名前:名無しの古代人

    狙っての入手は難しそう

    遊んでて落ちたらラッキーぐらいに思うやつ


457 名前:名無しの古代人

    また対人イベントがあれば躍起になるやつ


458 名前:名無しの古代人

    ガチ勢ギルドではノルマになるやつ


459 名前:名無しの古代人

    トレード禁止で助かったわ


460 名前:名無しの古代人

    紅も持ってるかな


461 名前:名無しの古代人

    耐久にも若干有利か


462 名前:名無しの古代人

    ヒーラーと一緒にいるけど頼りなく見える


463 名前:名無しの古代人

    参加メンバーに選ばれてるんだから

    ここで見てる誰よりも上手いのでは


464 名前:名無しの古代人

    妖精おじさんのほうは動かざること死体のごとし


465 名前:名無しの古代人

    地面の下で回復魔法を唱えてるのはシュール


466 名前:名無しの古代人

    どういう体勢なんだか

    閉所恐怖症の自分だとゲーム内でも遠慮したい


467 名前:名無しの古代人

    並みの精神状態じゃないのは確か


468 名前:名無しの古代人

    妖精おじさんのほうで声が聞こえた?


469 名前:名無しの古代人

    聞き逃した

    何か喋ったん?


470 名前:名無しの古代人

    独り言かよ

    やっぱり精神にダメージを負っているのでは


471 名前:名無しの古代人

    口プレイ始まったな


472 名前:名無しの古代人

    相手もいないうえに隠れながらの口プレイ

    自分との戦いってやつか


473 名前:名無しの古代人

    おっと?

    妖精おじの周りに安全地帯が広がったんだが


474 名前:名無しの古代人

    なんでやねん


475 名前:名無しの古代人

    イベントの仕掛けにしては不自然


476 名前:名無しの古代人

    明らかに妖精おじさんが中心だし

    隠し玉かね


477 名前:名無しの古代人

    そういえばダメージゾーンも一気に広がったような


478 名前:名無しの古代人

    イベントアイテム関連かもってことか


479 名前:名無しの古代人

    それをこの大事な場面で使うという


480 名前:名無しの古代人

    ここまで想定通りに動けるのはさすが


481 名前:名無しの古代人

    意外と行き当たりばったり説




 ◇




 相打ちでござると一報を残し、コヨミさんがいなくなる。紅騎士団の忍者とは一戦交えてみたいと直前に言っていた。イベントを十分に楽しんでくれたのならいいが。


 後は自分が生き残り結果を持ち帰るだけ。やることは変わらなくても、やはり心細さを感じた。


 すでに狭い穴の中でクロ蔵を頼っているが、雫石では回復力が物足りない。魔法はクロ蔵優先で自身にヒールポーションを使うが、どこかで一人になった方が効率よくなるタイミングがあるはずだ。


 回復魔法と共に遊んできて経験値は得られた。紅さんが相手でも直接的な戦闘でなければ勝ちも見込める。とはいえ、もちろん油断は禁物。ヒーラーとすぐに移動を始めたのは少し気になるところ。


 パーティメンバーを復活させる以外にも、古代の遺物があるのかもしれない。しかし、もはや集中すべきは自分の体力だ。


「そろそろか」


 つい漏れた不用意な呟きに、まあいいかと思う程度には緊張で妙なテンション感になっていた。外を歩くと手足が同時に出そうだが地面の下で静かにしていれば大丈夫、と変な方向に考えが迷子になる。


 精神力が追い付かなくなってきたなと気を取り直し、安全地帯の巻物を手にする。安全破壊の方は期待通りに効果を発揮した。次もと祈りつつアイテムを使った。


「……」


 体力ゲージの注視を数秒間行い、持続ダメージが消えたので口を結びながら安堵する。地図を開くと安全地帯が新たに広がっていた。


 範囲は最後の広場ぐらいと限定的なものの、地図は誰にでも見ることが可能だ。紅さんに気づかれると困った事態に陥る。


 ただ、必要以上に怖がっての移動は悪手。どうせ安全地帯の中で身を潜める場所は他にない。覚悟を決めて回復するのが一番だろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ