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社畜おじさん、仕事を辞めて辻ヒーラーになる。  作者: 七渕ハチ
第二章『回復代行結社でござる』

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第79話 そして誰もいなくなった

【DAO】イベント会場Part12【第二回】


 32 名前:名無しの古代人

    触手頭が立ち止まってるな

    木の陰に隠れたのか?


 33 名前:名無しの古代人

    近くに古代の遺物があった

    使うつもりかも


 34 名前:名無しの古代人

    よく見たら地面に穴が開いてる

    屈んだら目視じゃ分からん


 35 名前:名無しの古代人

    地面に埋まる妖精おじさんとほぼ同じか

    足元に回復っぽいエフェクトがあるけど


 36 名前:名無しの古代人

    色違いでふたつあるっぽい

    リジェネ系?


 37 名前:名無しの古代人

    重複してそうだ

    ダメージゾーンには持ってこいのやつ


 38 名前:名無しの古代人

    紅騎士団の忍者が真っすぐ向かってるな

    古代の遺物目当てかね


 39 名前:名無しの古代人

    お互いが利用すると思ってるかこれ


 40 名前:名無しの古代人

    どんな効果か事前にわかるの?


 41 名前:名無しの古代人

    状態異常の回復は通常状態だと発動せずに終わった

    でもまた使えたし用件を満たさない場合にって感じ?


 42 名前:名無しの古代人

    他のパーティが使うのを観察すれば見当がつく


 43 名前:名無しの古代人

    その発想はなかった


 44 名前:名無しの古代人

    紅騎士団の忍者が追い付いた模様

    木の上で探してるっぽいな


 45 名前:名無しの古代人

    複数人いる可能性を考える必要があるしね

    警戒は入念だ

    と思ったけどすぐに下りてもた


 46 名前:名無しの古代人

    古代の遺物を使う気か


 47 名前:名無しの古代人

    触手頭が動いた


 48 名前:名無しの古代人

    背中からの攻撃に気づくとは

    さす忍


 49 名前:名無しの古代人

    反射神経というより予測してた?


 50 名前:名無しの古代人

    なんか会話が聞こえる


 51 名前:名無しの古代人

    触手からの可愛い声で笑う


 52 名前:名無しの古代人

    小難しいこと言ってんな


 53 名前:名無しの古代人

    語尾がござるで笑う


 54 名前:名無しの古代人

    ござるの民だったのか

    妖精おじさんの仲間らしくキャラが濃い


 55 名前:名無しの古代人

    紅忍もクセが強そう


 56 名前:名無しの古代人

    一騎打ちが始まるぞ


 57 名前:名無しの古代人

    忍者同士でどうなる


 58 名前:名無しの古代人

    からめ手に定評があってもな

    ダメージゾーンの関係で勝負は一瞬だ




 ◇




 デスコが挨拶代わりに小さなクナイを投げる。コヨミは簡単に弾くと短剣による追撃を横に飛んで避けた。


 双方が鋭いステップを踏みながら攻撃を繰り返し、青く光る短剣が闇を照らす。会話は相対時のみでスキルの発動も無言で行われる。


 一度でもダメージを負えば致命傷になり得た。コヨミが意識の外を狙って落とす罠のボムシードでさえも、デスコは気づいて距離を取る。



――ボゴン!



 爆発に紛れようが一挙手一投足を互いに見逃さない。体力は常に減る状態で自然とタイムリミットは迫っていた。


(回復を紅ちゃまにお願いするかの判断が難しいですわね)


 デスコが気になるのは支援のなさ。自らが所属する紅騎士団の現メンバー数は、相手が広場にいたことで明らかに知られている。同時に謎のヒーラーがどこかに存在するのも、回復を受けた事実によって想像がつく。二人、もしくはそれ以上のプレイヤーがパーティを組んでいるのかどうかが問題だった。


 仲間がいれば無支援に戦う様子が不気味に映り、いないのであれば古代の遺物を阻止するタイミングに疑問が残る。広場ではヒーラーが生きていた姿も確認に容易く、タンクなど他者への回復手段に乏しいメンバーの復活を邪魔する意味は薄かった。


 隠れ続けてヒーラーを狙うのが最も賢い選択で、ちぐはぐな行動は考えるほどに混乱を誘う。


(せめて、この方はここで落としたいのですけれど。わたくしのために貴重なイベントアイテムを消費するのはもったいないでしょう。一秒でも長い耐久を目指し有効活用するのが勝ちへの道筋ですわね)


 二人は示し合わしたようにポーションを飲む。そこで、コヨミが待っていたとばかりに距離を詰めた。


 デスコは短剣で応じたが構わずの突進に驚く。


「捕まえたでござる」


「っ! 離れてください!」


 捨て身に抱きつかれたところで未知の攻撃を恐れ、初めて使う蹴撃スキルで蹴り飛ばした。


「ブラストクッション!」


 さらに自身を中心に風を起こして警戒を重ねる。意表をつく動きには念入りな対応を見せた。


「なっ……!」


 しかし、コヨミは姿を一瞬消しただけで悠々と近づく。罠の影響で足元に開いた穴は風をやり過ごすのに最適だった。


「詰みでござる」


 スキルの硬直で制限がかかるデスコへ短剣の強烈な一撃が決まる。


「おや?」


 体力がゼロに達したものの、間の抜けた声と共にゲージが少し巻き戻った。


「チェックメイトですわ」


 逆にコヨミへカウンターで短剣が突き刺さり体力がなくなってしまう。



――ボゴオン!



 そして、立て続けに起こった爆発がデスコを包み込んだ。周囲にはアイテム、爆符の断片が舞って森に静けさを残した。

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