第77話 赤く染まった広場
【DAO】イベント会場Part11【第二回】
77 名前:名無しの古代人
紅の口プレイが炸裂した
あんまりやるイメージはなかったが
78 名前:名無しの古代人
その辺はいぶし銀との違いもあって騙されたな
あいつらオープンチャットでぺらぺら喋るし
79 名前:名無しの古代人
どうせ角刈りの方針でしょ
趣味と言ったほうが正しいか
80 名前:名無しの古代人
そんな間にも大金星の声が聞こえた
いぶし銀やられたかこれ
81 名前:名無しの古代人
さすがに持たなかったな
82 名前:名無しの古代人
ジーニアスってギルドが狙ってたね
83 名前:名無しの古代人
どっかで聞いた名前だ
墓場とかだっけ
84 名前:名無しの古代人
そのジーニアスも紅に処された
85 名前:名無しの古代人
闇雲に突っ込むかの差だろう
紅騎士団は周りをよく見てる
86 名前:名無しの古代人
すぐ仕掛けに行ったもんな
87 名前:名無しの古代人
焚かれた煙幕がナイスアシストだ
なかったら横やりでダメージもらってたろ
88 名前:名無しの古代人
触手頭がうろちょろするのは厄介
相手にするのもめんどくさそう
89 名前:名無しの古代人
平気で木の上を移動するとか
見た目以上に難しいやつ
90 名前:名無しの古代人
この手のゲームはなんでもできるけどできないっていう
現実とのギャップは中々にハードルが高い
91 名前:名無しの古代人
アクロバティックな動きはなぁ
素直に憧れます
92 名前:名無しの古代人
煙幕が薄くなってきたぞ
ここからは展開が早そうだ
93 名前:名無しの古代人
ギルド数は残り六ね
94 名前:名無しの古代人
紅騎士団と回復代行結社が手を組んでるとして
四対二で相変わらずの人数差
95 名前:名無しの古代人
紅が受けに回らず攻めに出た
96 名前:名無しの古代人
横にタンクを伴ってる
ヒーラーは忍者っぽいメンバーが守る形か
97 名前:名無しの古代人
狙われてないパーティが囲めば落ちんかこれ
98 名前:名無しの古代人
触手頭がフォローしに行った
こっちも忍者だよな
99 名前:名無しの古代人
妨害してなんぼの忍者だし
時間は稼げる
100 名前:名無しの古代人
妖精おじさんが隠れてるのは大きい
守らなくていいヒーラーがいるわけで
101 名前:名無しの古代人
埋まったままで回復魔法が届くのか?
102 名前:名無しの古代人
そこは妖精の秘儀でなんとか
103 名前:名無しの古代人
特殊な回復系スキルを持ってても不思議じゃない
というか持ってる方が自然
104 名前:名無しの古代人
紅騎士団のタンクが邪魔者を無理やり盾で吹き飛ばした
開けた道に紅が突っ込んだぞ
105 名前:名無しの古代人
目の前のプレイヤーへ真っすぐに攻撃したな
回避も上手いし簡単に倒し切った
ヒーラーが別のメンバーに気を取られたか
106 名前:名無しの古代人
ギルドが脱落したからリーダーだった模様
もう他のパーティについては役割を把握済みだ
107 名前:名無しの古代人
四対二が瞬く間に三対二
勝負ついたろ
108 名前:名無しの古代人
あら?
でも紅騎士団の盾が死んだっぽい
109 名前:名無しの古代人
魔法が飛んできて別の攻撃も重なった
連携でやられたな
110 名前:名無しの古代人
魔法を防ぐスキルは熟練度が高めに設定されてるしね
現段階じゃ対応がそもそも難しい
111 名前:名無しの古代人
先にタンクの首を取りに行くとは
紅への回復が手厚いって判断?
112 名前:名無しの古代人
とはいえ数の差は縮まってる
他も万全には遠い戦力で辛いとこ
113 名前:名無しの古代人
イベントの打ち上げ会場はここですか?
114 名前:名無しの古代人
オードブルの用意を頼む
115 名前:名無しの古代人
カレーが食べられると聞いて
116 名前:名無しの古代人
おかわりもいいぞ
◇
『終わった?』
紅が周囲を見て呟く。激しい戦闘の末、安全地帯に立つのは紅騎士団の三人になった。
『忍者がダメージゾーンへ入って行きましたわね』
パーティメンバーの一人が手元で短剣を遊ばせながら答える。
『仲間がいるのかな』
『たとえヒーラーがいても、今なお安全地帯に残るわたくしたちが先に死ぬ道理はありませんわ』
『途中で拾ったパーティ全体を回復できる巻物。似たものが他にあったら?』
『そういくつも入手してはいないでしょう。ですけれど、放っておくのも居心地が悪いですわね』
『近くで確認した古代の遺物は、巻物と同じパーティ全体への回復とメンバー復活のふたつ』
『向かう先は限られる、ということですか』
『デスコは周りの木が全てダメージゾーンに飲み込まれてから復活のほうへ行って』
『現時点でも木に誰かが隠れているようには見えませんが、わかりました。紅ちゃまはどうするのです?』
デスコと呼ばれたメンバーが頷いたうえで聞く。
『ここで待つ。安全地帯がなくなったら回復する古代の遺物にブルースと移動』
『わ、わわわ私は回復をすればいいんですよね!?』
そして、もう一人のブルースが杖を抱き慌ててにじり寄った。
『そう』
『では、わたくしは一足先に行って参ります』
『き、気をつけてくださいね!』
すでにダメージゾーンはギリギリまで迫っており、木を越えて円形の広場を包み込む。デスコは同時にジャンプを軽く繰り返し姿を消した。
『うぅ、終わりだと思ったのに……』
ブルースは紅の背に隠れて視線を彷徨わせる。
『誰かが飛び出してきたらどうしよう……』
『倒せばいい』
『ちゃんと守ってくださいよ!』
『場合による』
『そ、そんなぁ……! って、なんですかこれ!』
周囲の状況が急変したことによって、ブルースが動揺を最大限に身体で表現する。
『トラブルですか?』
『トラブルです! 死んじゃいます!』
『安全地帯が一気にダメージゾーンになった。予定通り古代の遺物に向かって耐久に入る』
『このどこが予定通り……あ、待ってくださいよー!』
地図上で赤く染まった広場を後にし、二人は移動を始めた。




