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社畜おじさん、仕事を辞めて辻ヒーラーになる。  作者: 七渕ハチ
第二章『回復代行結社でござる』

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第71話 あの鐘を鳴らした後に

『あれはギルド、いぶし銀の皆さまでござるな』


『有名なんですか?』


『紅騎士団と並んで規模は大きいですよ』


 非常に期待が持てる情報だ。ぜひこの場をかき乱してほしい。


「おらおらー!」


 先頭を走るのはリーダーに見える角刈りのプレイヤーで、あのテンション感と合わせて覚えがあった。おそらく以前のイベントにもいた人だ。


 他のパーティは勢いに押されて守りに精一杯。囲もうとするも紅さんたちが割って入るため、中々数の有利を活かせていなかった。


「おい紅騎士団! お前らの手助けなんかなくても余裕だっつーの!」


「助けてない」


 お互い大きなギルド同士で思うところはあるのか、いさかいが聞こえる。しかし、不意打ちで横から攻撃を加えることはせずに連携していた。


「ありがとう!」


 周りのプレイヤーたちも協力状態で感謝の言葉をかけ合う。その先には鎧に触手頭のコヨミさんがいて、雫石で支援を行っているふうに見えた。


 ごく自然に集団の中へ潜り込むのはさすがだ。自分なら間違いなく挙動不審になるが、あの被り物で多少はカバーできるのだろうか。


「は? なんで……」


 回復を受けて前線にやってきたプレイヤーが二人同時に消える。どこかでリーダー役が倒されたらしい。もしやとコヨミさんに視線を戻すと雫石があるだけで、そこには誰もいなかった。


 待機する人は他にもいたはず。それが安全な場所にいるリーダーで無防備な背中に短剣を突き刺した? しれっとやることをやっていそうだ。


 こちらも紅さんの力になれるよう、余裕を持って回復魔法の発動範囲確保に別の瓦礫へ向かう。この状況だと警戒のお願いは任せすぎなので、効果が切れていた透明化をかけ直して外に出た。


 周囲にプレイヤーがいないのを急ぎ確認し、壺の口部分を持ち上げて引きずる。少し目立つがみんな戦闘に夢中だ。瓦礫の横へ運んで向きを調整、再びうつ伏せになり中に入った。


 紅騎士団は生存を一番に考えて動いている。それを可能にするのも、いぶし銀の無茶な突っ込みが対応を難しくさせるからか。


「あいつらより倒しまくれ!」


「前に出過ぎだよ!」


 負けん気の強さに実力が伴うため爽快な戦いっぷりだ。ただし、被弾の蓄積は避けられず回復が遅れてきた。


 ここで退場されると逆転の目が薄くなる。角刈りさんの体力と、たしなめ役のヒーラーを追いタイミングを見計らって回復した。


「ん、今回復したか?」


「あたしじゃないね」


「紅! 回復は頼んでねーぞ!」


「勘違い」


 やはり第三者がいると気づかれる。ちょっとした喧嘩腰も、傍からだとコミカルに見えるのは才能なのかもしれない。


『ちらほら手強い方がいらっしゃいます。拙者の存在は露呈しますが始末してもよろしいでござるか?』


『お願いします』


『了解しました!』


 どのプレイヤーが手強いかの判断できて、なおかつ倒しにかかるとは。自分も足を引っ張らずに支援を重ねたい。


 ヒールかマナグレイスか、魔導書へストックすると反応が遅れる場合もあるので詠唱を済ませて臨機応変に魔法を唱えた。忙しいが回復だけは誰にも負けないという意欲で見守る。


「お前何して……!」


「後ろに気をつけろ!」


 遠くで複数の叫び声が聞こえてきた。どうやらコヨミさんが動き始めたようだ。いよいよ混乱が広まって慌ただしさが増す。


 地図ではダメージゾーンがコロッセオの手前に伸びてきた。タイムリミットが迫り終戦まで一気に進んでも不思議ではなかった。




 ◇




【DAO】イベント会場Part9【第二回】


144 名前:名無しの古代人

    紅騎士団といぶし銀はどっちが強いんだ?


145 名前:名無しの古代人

    紅騎士団は精鋭たちが揃ってるイメージ

    いぶし銀はエンジョイ勢もいるイメージ


146 名前:名無しの古代人

    まともにやり合ったら紅騎士団に軍配が上がりそう


147 名前:名無しの古代人

    でも共闘するみたいだよ


148 名前:名無しの古代人

    まあ戦っても後を考えるとな

    どうせ強者潰しに数の暴力が待ってる


149 名前:名無しの古代人

    数で言えば時間の問題だと思うが

    パーティがひとつ増えたところでっていう


150 名前:名無しの古代人

    いぶし銀が突っ込んでったな

    あの向こう見ずな勢いは受ける側も怖いはずだ


151 名前:名無しの古代人

    周りの連中も死にたくはないし

    横っ腹狙いがほとんどか


152 名前:名無しの古代人

    とはいえ数をひっくり返せるほど実力差ってある?

    ここまで残ってるんだし中には強いのもいるんじゃ


153 名前:名無しの古代人

    有象無象に混ざって上手いのが動くのは厄介

    虎視眈々と機会を窺ってるね


154 名前:名無しの古代人

    双方が単純にしぶといな

    何か魔法とポーション意外の回復手段があるんだろう


155 名前:名無しの古代人

    角刈りが回復するなって叫んでた?


156 名前:名無しの古代人

    紅騎士団がフォローしてんのかな


157 名前:名無しの古代人

    相変わらず騒がしいやつだ


158 名前:名無しの古代人

    否定されてるけど


159 名前:名無しの古代人

    じゃあ別の誰かが回復を?


160 名前:名無しの古代人

    っぱ妖精おじよ


161 名前:名無しの古代人

    どう考えても二大勢力に肩入れする意味はない

    どんな基準で回復してるんだか


162 名前:名無しの古代人

    壺をかぶる変態だぞ

    思考のトレースは無駄だ


163 名前:名無しの古代人

    なんか後ろでいざこざ起こってね


164 名前:名無しの古代人

    触手頭の変なプレイヤーが暴れ始めた

    数的に紅騎士団といぶし銀のメンバーじゃないか


165 名前:名無しの古代人

    あの姿どっかで見たな


166 名前:名無しの古代人

    妖精おじが飼ってる妖怪やん


167 名前:名無しの古代人

    マジかよ

    周りを倒しにかかるとかご乱心じゃん


168 名前:名無しの古代人

    全滅を狙ってる説あります


169 名前:名無しの古代人

    忍術使いか

    やり手の動きだな


170 名前:名無しの古代人

    回復っぽいの設置したうえで他パーティに混ざってる

    離れてると気づかんし勘違いされるやつ


171 名前:名無しの古代人

    案の定戦い始めた


172 名前:名無しの古代人

    そしてヒーラーを背後から仕留めてドロンか


173 名前:名無しの古代人

    あーもう滅茶苦茶だよ


174 名前:名無しの古代人

    体力が回復する当たりサポートはしっかりだ


175 名前:名無しの古代人

    妖精おじか

    壺の中に隠れてるとは思わんよな


176 名前:名無しの古代人

    おい

    客席をダメージゾーンが飲み込み始めたぞ


177 名前:名無しの古代人

    時間もなしでこの混乱っぷりか

    こうなるとギルドの地力が出てくる


178 名前:名無しの古代人

    紅騎士団も攻めだしたね


179 名前:名無しの古代人

    やっぱり強い

    三人パーティがあっけなく倒された


180 名前:名無しの古代人

    ダメージゾーンの迫りが早く見える

    走ってなんとか逃げられるぐらいだ


181 名前:名無しの古代人

    二回目の収縮で設定が変わってるのかもしれん


182 名前:名無しの古代人

    フィールドにも入ってきた

    パーティはだいぶ減ったけど脱出口がな


183 名前:名無しの古代人

    もうダメージゾーンが半分を越えたんだが

    倒す以外のギミックだと全滅コース


184 名前:名無しの古代人

    残りのパーティ数は10とか?


185 名前:名無しの古代人

    9になった

    紅騎士団が安全地帯に陣取ってるから大変だ


186 名前:名無しの古代人

    継続ダメージでまた退場したな


187 名前:名無しの古代人

    いつの間にか妖怪触手頭がいない?


188 名前:名無しの古代人

    ダメージゾーンに居ながら戦うのはキツそう

    どうせ死ぬならで挑んだパーティも返り討ちか


189 名前:名無しの古代人

    この期に及んで生存に賭けるのがいる

    足並みを揃えるのは結局無理だったようです


190 名前:名無しの古代人

    いぶし銀もダメージゾーンの中に入って倒し切った

    よく耐えてる


191 名前:名無しの古代人

    鐘の音が鳴った?


192 名前:名無しの古代人

    魔法陣が光ってる!


193 名前:名無しの古代人

    気づいたパーティが駆け込んだ

    そのまま消えたし転送装置っぽい


194 名前:名無しの古代人

    残りも魔法陣に向かった


195 名前:名無しの古代人

    予想通りパーティ数で発動のギミックか


196 名前:名無しの古代人

    角刈りが紅騎士団へ喧嘩売りに行くの笑う

    ダメージゾーンで共倒れするつもりかよ


197 名前:名無しの古代人

    メンバーに引っ張られて魔法陣に放り込まれたな

    仲間はまともなのがまた


198 名前:名無しの古代人

    紅騎士団が最後に残った

    周りを確認してるのは何?


199 名前:名無しの古代人

    他にいないか見てるとか

    だったら徹底的だ


200 名前:名無しの古代人

    さすがに転送したな

    これでコロッセオの攻防もおしまい


201 名前:名無しの古代人

    面白かった

    不参加でも楽しめるのはいいね


202 名前:名無しの古代人

    脱落組も楽しんでます


203 名前:名無しの古代人

    なんか聞こえん?


204 名前:名無しの古代人

    軋みというか鎖の音?


205 名前:名無しの古代人

    壁のでかいアーチ扉が開いてる


206 名前:名無しの古代人

    ほんまやん


207 名前:名無しの古代人

    誰もいねーのに


208 名前:名無しの古代人

    いや待て

    触手頭が客席から飛び降りてきた


209 名前:名無しの古代人

    いやいや隠れてたのかよ

    ってことはパーティがひとつになった時点で開くギミック?


210 名前:名無しの古代人

    中に入ったな


211 名前:名無しの古代人

    あるとしたら生き抜いたご褒美


212 名前:名無しの古代人

    巻物を持ってすぐ出てきたけど

    どんなタイプのアイテムだ


213 名前:名無しの古代人

    つーか最後まで残ろうって考えるかね


214 名前:名無しの古代人

    端にいて紅騎士団を避けるのが難しかった?

    魔法陣に入る前にやられちゃ意味ないし


215 名前:名無しの古代人

    紅騎士団も待機時間はあったか

    ご褒美を期待してたのかも


216 名前:名無しの古代人

    壺が動いてる


217 名前:名無しの古代人

    引っくり返って内面が上向いてんじゃん


218 名前:名無しの古代人

    そこに何か乗ってる

    回復に似たエフェクト?


219 名前:名無しの古代人

    周囲に回復効果を与えてるみたい

    魔法陣の方向に動いてるし誰かいるはず


220 名前:名無しの古代人

    妖精おじ以外にありえん


221 名前:名無しの古代人

    触手頭と合流したな


222 名前:名無しの古代人

    魔法陣に入って壺ごと消えた


223 名前:名無しの古代人

    ちゃっかり謎アイテムを回収するのか

    初めから狙ってたなら相当頭が回るおじさんだ

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