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聖火  作者: 青山喜太


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第六十一話 路銀

「いやぁ、急に別のところに飛ばされたと思ったら、もうドキドキしちゃって! 一日中、闇雲に歩いていたらこの街にたどり着いたんですよぉ」


「俺たちも同じですよ、危うく死にかけました!」


 ごくりとエールを飲み干しながら説明するアーシェにドンキホーテは「はは」などと笑い朗らかに答えている。


 呑気なものだと頭を抱えるレヴァンス。


 ドンキホーテが担当する3人の生徒達は気まずそうに椅子に座っている。


 ここに《《偶然にも集まった6人》》は冒険者ギルドのテーブルを囲んでいた。


「状況を整理しよう」


 レヴァンスが話し始める。


「我々は、敵の魔法使いによって転移させられた、場所はコールランド王国。そして偶然にも我々はここに集まった」


「混沌の神の手引きでな」


「わかっている」


 補足を入れるドンキホーテに、イラつきながら返すレヴァンスはさらに話し続ける。


「問題なのは、彼女……ネクス君があの魔法使いたちの標的だったという点だ、信じ難いことだが、魔王の力? を持っているのだろう? ならばおそらくこれからも狙われる、さらに最悪なのは──」


 レヴァンスが顔を上げる。


「あの最高峰の魔法障壁を破る手段を持つ者達たちが相手だということだ」


 ドンキホーテがジョッキを傾ける。


「だからセンセは俺がスパイだとおもったのか?」


「そうだ、複数のスパイの内の一人だと思っていた、今も3割は疑っている」


「ドンキホーテ先生がスパイ?」


 状況を飲み込めないアーシェを横目にレヴァンスは話し続ける。


「そうでなければ、あの魔法障壁は突破できはしないだろうと私は推測を立てた」


「そうか、だが俺は逆の意見だ」


 ドンキホーテの言葉にレヴァンスは眉を顰める。

 どうも腑が落ちない、そんな顔だ。


「最初から内通者なんていなかった、ただなんらかのアビリティ、または魔法で、障壁の中に敵が入ったんだ」


「……ありえん」


「そうだな、あの魔法障壁は神格すら弾く、そして試験会場では魔法や千里眼などのアビリティによる監視の目が絶えなかった、加えて、あの障壁内には生物探知の魔法まで標準で備えてあった、長時間隠れるのは不可能だ」


「ならば、どうやって入ったのだ」


「矛盾してるかもしれないが聞いてくれ、多分は障壁の範囲内に元々いたか、試験の開始時に学生と共に入り込んだんじゃないか?」


「どうやってだ! 障壁の範囲内に生物は完全にいなかった、それに加えて試験会場の入り口が一番厳重だった! 付け入る隙などなかった!」


 その時だった、小さくミケッシュが手を上げる。

 その挙手に気づいたレヴァンスは、怪訝そうな顔をしながらミケッシュに問うた。


「どうしたミケッシュ君」


「その……もしかしたら可能かもしれないんです、それが」


「なに?」


 そのミケッシュの言葉にレヴァンスどころか、ドンキホーテまで驚きの表情を見せた。


「コメディアンって呼ばれていた、魔法使いの仲間がいました」


「あの、白髪の男か? それならば私も崖の上から目視していた」


「は、はいその人です、そのコメディアン、アタシたちが休憩してる時、そのなんて言ったらいいのかわからないんですけど……突然現れたんです」


「突然? 本当か?」


 レヴァンスの問いにミケッシュは頷く。


「間違いないわ、私の隣に突然現れた、まるで《《今までもそこにいたみたいに》》」


 ネクスの補足が入るがそのせいで余計に疑問が深まってしまった。


「……そんなこと可能なんですか?」


 アーシェも同じこと思ったようで、ドンキホーテとレヴァンスの二人に聞くが、ドンキホーテは首を横に振る。


「不可能です、必ず、何か反応が起こるはずです。テレポートの魔法なら空間を魔力で歪ませたことによる光や風が、身体能力による高速移動なら言わずもがな風切り音などが当然発生するはずです」


 ドンキホーテの解説は当然、間違いはないレヴァンスも同じ認識だった。


「じゃあ身体能力でも、魔法でもないとしたら、アビリティ……? も、ありえないですかね?」


 アーシェの言葉にドンキホーテは頷く。


「少なくとも、普通のアビリティならば無理です」


「というと?」


 レヴァンスは何かを思いついたかのように、眉間に皺を寄せ言った。


「ギフテッド……か?」


「それって……」


 黙りこくる、3人の大人達を前に、リリベルがおずおずと尋ねる。


「ギフテッド……ってなんですか?」


 すると、レヴァンスは重々しく口を開く。


「神から加護を受け、先天的に凄まじい力を……アビリティを持っている人間のことだ」


「じゃあ、何がしかの神がすでに力を貸しているということですか?」


 リリベルの言葉にレヴァンスは頷く。


「リリベル君、わかっただろう、私たちの置かれている状況が……思ったよりも最悪だ」


 そのレヴァンスの言葉は確かに今の一向の絶望的な状況を表していた。


「あの……不謹慎かもしれないんですけど……」


 すると唐突にアーシェが声を上げる、何事かと、全員が聞き入る。


「お金、どうします?」


 その瞬間、その場にいる全員が、思い出した。そうだ、まず何よりもやるべきことがある。


 そう路銀集めだ。

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