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強制的魔王  作者: ほのぼのる500
勇者 フィン
22/58

22話

ふっと意識が浮上する。


「眠っていたのか?」


少し気が緩んでいるな。

レベルの高い魔王が見つかった可能性があるというのに。

コンコン。


「入れ」


「失礼いたします」


ヒリルアが王座の下まで歩み寄ると跪く。


「偵察隊より第一報が届きました」


「魔王はいたか?」


「はい。本日、姿を確認したと連絡がありました」


見つけた。


「魔王の動きを細かく調べ上げろ」


「はっ」


ヒリルアの後ろ姿を見送ると王座に深く座り目を閉じる。

細かい動きを調べれば、ある程度魔王のレベルは判断できる。

すぐに動けるようにしておかねばな。


「変身魔法、解除」


周りに光が集まってくる。

するすると視界が変わり、座っている椅子も同時に変化を起こす。

周りを見て視界の変化を確認。

ちゃんともとに戻れたようだ。

これで、魔王討伐がいつになろうと、すぐに人型になることが出来る。


「やはりもう少し、人型を維持できる方法を調べたいな」


コンコン。


「失礼します」


カルチェが魔王の座に入り一礼する。

そして王座の下まで歩み寄り、跪く。


「201個の魔石の回収が終わりました。全て吸収されています」


そう言えば、あれから何度も魔物を討伐させていたな。


「魔石の数は2016個です。魔石を使って何をする? 【魔物を出現させる60個】【世界のレベルを上げる5000個】」


ピコン、ピコン、ピコン、ピコン。

この音はスキルと魔法のレベルが上がった時の音だな。


「ステータスオープン」


ウィン


種  :勇者 Lv8 (トカゲ)

魔法 :水魔法(3.9)[ウォーター(5.4)、ウォーター・アロー(2.6)]

スキル:身体強化(5)、強打(3.4)、精神強化(4.2)、高速詠唱(2/10)、弓術(1.6)、回避(1.8)

称号 :魔王殺し(6)


ウォーター・アローが上がったな。

他はスキルか。

強打に精神強化、回避が上がっているな。

まぁ、微々たるものだがいいだろう。

そう言えば、代理戦闘カードの効力はまだ持つのだろうか?


「カルチェ、マジックカードを出せ」


「はっ」


胸元にあるポケットから手のひらサイズのカードを取り出す。

そして下に視線を向けたまま、俺に差し出す。

こういう時、傍で補助をする者がいないのは不便だな。

俺がわざわざ数歩とはいえ、歩かねばならないのだから。

王座に触れる事を許可するか?

いや、もしもの時、これは最大の防御となる。

やはり当分はこのままだな。

立ち上がり、カードを受け取るために階段を3段降りる。

そしてカルチェが持っているカードを受け取り、カードに書かれている文字を確認する。

カードには「代理戦闘」と書かれているが、かなり薄くなっている事が分かる。

最初はカードにしっかりと書かれていたのに。


「そろそろ限界か。そう言えば、魔物を倒した時にドロップするマジックアイテムはどうした?」


「全て集め、王座の間の隣の部屋に置いてあります」


「分かった。カルチェ、引き続き魔石の回収を命ずる」


【魔物を出現させる60個】に手をかざす。


「はっ」


「【魔物を出現させる60個】に決定! 魔石の残り1956個。魔物はランダムに選ばれます!」


カルチェにマジックカードを渡すと、一礼してそのまま王座の間から出ていく。

代理戦闘のカードは魔物を倒した時に時々出るマジックアイテムの中にあった。

もしかしたらもう1枚ぐらい、あるかもしれない。

さっそく調べるか。


「この体、慣れているが、重いんだよな」


はぁ、やはり何かするなら人型が便利だな。

だが、今は見つけた魔王の討伐がいつになるか未定だ。

動きが素早い人間型に、いつでも対応できるようにしておく必要がある。


「ふぅ、仕方ない。それより王座の間の隣の部屋だったな」


のそのそと移動して王座の間を出る。

そしてすぐ隣の部屋へ向かう。

部屋の扉を開けると、それほど大きくは無い部屋にいろいろな大きさの木箱が積みあがっている。

その量に少したじろぐ。

そう言えば、ずっと放置していたな。

勇者レベルが3になってから解放されたマジックアイテム。

最初の頃はドロップするたびに調べていたが、面倒くさくなって放置していたな。

それにしても、かなりある。

調べるのは面倒だ。

しかも全てにアイテムが入っているわけではなく、外れがある。

空の木箱も相当数あるはずだ。


「マジックアイテムは時間がある時に調べるか。今はマジックカードだ」


マジックカードは確か木箱ではなく紙袋に入っていたはずだ。

紙袋を探すか。

こういう時メイドが使えたら便利だが、あれらは何の役にも立たない。

帰ってきた時に出迎え、他の世界に行くときの見送り。

それだけだ。

最初は色々命令してみたが、全て無視された。

いったい何のためのメイドなのか、何をさせればいいのか……。


「あっ、見つけた」


探すのに苦労をするかと思ったが、紙袋だけでまとめて置いてあった。

とりあえず、カルチェも役にはたつな。


「全部で……16、17、……25、……43、44、45。46枚か」


これだけあれば、何か役立つカードもあるだろう。

代理戦闘カードが一番に欲しいが、他にも何か役立つカードがあればいいな。


「……これにも外れがあるんだよな。まぁ、ゆっくり確かめていくか」


前足を伸ばして紙袋を取る。

長い爪で袋を切り裂き、中からカードを慎重に出す。


「外れか」


出てきたのは真っ白なカード。

初っ端からこれとは……何とも言えない気分になるな。

首を横に振って気分を切り替える。

これからどんどん外れが出てくるはずだ、いちいち気にしていたらやってられない。

次々と紙袋を切り裂き、カードに傷が付かないように気を付けながら長い指を使って袋から出す。

9枚目にようやく文字が書かれたカードが出てきた。


「外れが多すぎる気がするな、どうなっているんだ? ん? このカードは、時間停止1分間?」


1分間だけすべての動きを止められるという事だろうな。

これは魔王討伐の時にかなり役立つな。

魔王が攻撃する前に、時間停止を発動させて倒せば、かなり安全な魔王討伐になる。

とはいえ、1分間だからな。

そうとう魔王に近づいてからマジックカードを発動させないと時間切れになるだろうな。


「よし、次を調べるか」


外れの白紙のカードが増えていく。

それを見ないように、次々と紙袋を開ける。


「反逆者 10分?」


出てきたカードを見つめる。

どうやって使うんだ?

敵の中に反逆者を作れるのか?

強者との戦いに置いてこのカードは良い働きをするかもしれないな。


「それにしても26枚開けて2枚は少なすぎないか?」


もしかして一定時間放置していると、魔法の効力が消えるとか?

確か代理戦闘カードを見つけた時は、5枚中の1枚だったはずだ。

そのあと3枚外れで、4枚目でオウマイト転移カードが出た。

オウマイトに隠れてしまった魔王を討伐するのに使ってしまったが。

そのあとは4枚が外れで、5枚目に殺戮カードが出たんだよな。

そう言えば、殺戮カードは使っていないな。

でも昨日見た時は、文字ははっきりと表示されていたので今も有効なカードのはずだ。

つまり、紙袋から出さないと効力が消える?


「マジか……ん?」


視線を隣に向ける。

大量に積みあがった木箱。

マジックアイテムが入っている予定の箱。

もちろんマジックアイテムにも外れがあった。

効力が消えるルールはマジックカードだけではないだろう。


「マジか」


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