91話 スレイヤーのお仕事⑩
「また魔族を倒されたのですか!?ギルマス補佐スゴすぎます。」
街に戻れたのは昨夜の8時前だった。さすがに時間も遅いのでギルドへは翌朝に報告に訪れた。
職員に巡回の結果を共有すると、一言目が先程の言葉だったのだ。
「特別報酬が出ています。口座をお確かめ下さい。」
また3億ゴールドが振り込まれていた。よく考えると大金持ちじゃないか。
あ、オークを4体倒しているから別に40万加算されている。魔族と比べると安っ。
それにしても使い道がなぁ···特に思いつかない。
元の世界では土地を買うとか、株を買うとか、高級車を買うとか、いろいろとお金の使い道はあったのだろうが、こちらの世界では特に何もない。物欲そのものがあまり湧いてこないのは、毎日が充実しているからなのか?
まぁ、大した悩みでもないから必要な物があったら買えば良いか。
「「タイガさん、おはようございます。」」
シスとテスが朝の挨拶をしてきた。2人とも自然な笑顔で出会った時とは印象がまるで違った。
「おはよう。」
「昨日の巡回で私達にも特別報酬が出ていました。何の役にも立たなかったのに良いんでしょうか?」
「気にするな。それに2人ともがんばったからな。」
俺は自分の特別報酬からパティに3000万、シスとテスに1000万ずつが分配されるようにギルドに申請して受理されていた。
パティはオークの討伐で別に支払いがされているが、3人ともがんばったからこれくらいのことは構わないだろう。
「タイガさんにそう言われるとなんか安心します。」
テスは謙虚だ。
「あ、あのタイガさん!」
シスが真剣な表情で声を出した。
「ん?どうした?」
「私に剣術を教えてもらえませんか?今のままでは実力が全然足りません。せめて一人でテスの援護ができるようになりたいんです。」
「シス···。」
テスは驚いていたが、姉の言葉に嬉しそうにした。
「良いよ。ただ、俺の剣術は刀を使った特殊なものだからベースとなる部分は···。」
そう言いかけた時にアッシュが側を通りかかった。こちらに手を上げながら歩き去るところを襟元を掴んで止める。
「ぐぇっ!」
「ちょうど良いところにお手本が来た。」
シスもテスも目を丸くしている。
「···タイガ、俺を殺す気か?」
喉の辺りを押さえながらアッシュが抗議をしてきた。
「唇治ったんだな。」
「え?ああ、ようやくな。」
「今日は忙しいのか?」
「ん~、午前中はそれほどでもないかな。午後からはチェンバレン大公閣下とターナー卿が来る準備をしないとダメだがな。ああ、おまえも手伝えよ。」
「じゃあ、ちょうど良かった。修練につきあえ。」
「おおっ、良いぞ!」
さすがバトルジャンキー。
うまく乗せられやがった。




