77話 学校に行こう⑭
スレイヤーギルドから事後調査のために何名かが派遣されてきた。アッシュも同行している。
俺は現場を他の者に任せ、職員室のターナーのロッカー内を見せてもらうことにした。リルも一緒だ。
「ターナー家のことを考えると後が大変そうだな。」
「そうね。でも目撃者が多いからあなたに何らかの嫌疑がかかることはないわ。三男とは言え、現役の騎士団長の嫡出子が起こした事件だから王城内は大変かもしれないけど。」
「箝口令は出せないかな?」
「その手筈だけど、生徒の中には貴族の嫡出子も多いから完全には無理だと思うわ。」
「騎士団長は人望に厚い人だったりする?」
「そうね。国王陛下や騎士団からの信頼は高いって聞いてる。人柄についてはわからない。」
「なるべく誰も傷つかないように終息させたい。」
ターナー家の不祥事ではなく1人の男の凶行、しかも外的要因による本人におとがめなしという結果での終息だ。彼のせいで誰かが死んだ訳じゃない。
「本当に優しい人ね。」
「···政治的な揉め事に巻き込まれたくないだけだよ。」
「ふふっ、そういうことにしておくわ。」
こういった時のリルは洞察力が非常に鋭い。恋人が浮気とかしたらすぐに見抜くんだろうな。
ターナーのロッカーからは特筆すべきものは何も出てこなかった。
上着くらいしか入っていないのは非常勤だから当然か。
グラウンドに戻りかけたところでギルドのメンバーがやって来た。
「タイガさん、ちょっと来てもらえますか?生徒に事情聴取をしていたのですが、チェンバレン大公閣下のご息女があなたと話をしたいとおっしゃってまして···。」
テレジアか。
「わかった。場所は?」
「案内します。」
その男に案内をされたのは本館の応接室だった。
ノックをして返事を聞いてから中に入った。
テレジアがソファから立ち上がる。
「タイガ様···。」
様?
えっ?
「どうかされましたか、テレジア様?」
「敬称などいりませんわ。テレジアとお呼びください。」
なんか瞳が潤んでいる。
何これ?
「じゃあ、テレジア。」
「はい。」
大貴族のご息女とは思えない汐らしい態度。
違和感を感じながらも先を促すことにした。
よくわからんことはスルーだ。
「俺に話があると聞いてきたけど何かな?」
あらたまった口調はやめることにした。慣れないのでカミそうになる。
一応、命の恩人だからこのくらいで怒らないだろう。
たぶん。
「はい。マイク·ターナー教諭のことでご相談が···。」




