75話 学校に行こう⑫
「ほ、本当に素手で闘ってる···。」
パティが震える声でつぶやく。
「今日は蒼龍を持ってきてないから···あれば瞬殺してるかも。」
さすがにフェリはタイガの闘い方を見るのが2度目なので冷静だ。
テレジアを含めた周りの生徒達は魔族のように変貌したターナーを相手に圧倒的な強さを見せるタイガから目を離せなかった。
「魔法の直撃を受けたのに···あれがランクSの強さなの!?」
いやいや、ランクSでも普通はダメージを負うわよ!
テレジアの言葉にフェリは心の中でツッコミを入れた。
立ち上がり、殴りかかるターナーを華麗なステップで翻弄し、ハートブレイクショットを連発する。
ダメージはあるがなかなか倒れない。
「魔族の血を取り込んだのか?」
「··········。」
事の真相を聞こうと話しかけるが、荒い息づかいしかない。
「テレジアを失いたくなかったのか、自分のプライドが婚約破棄されたことで傷ついたのかどっちだ?」
「············。」
返答がないのは変わらないが、にらみつけて殺意をさらに色濃く放ってきた。
「詳しいことは知らない。でも、女の子にフラれて見返すために魔族の力を借りたのだとしたら人間として弱すぎる。そんなやつには誰も期待しない。」
「だ···黙れ!···き··貴様に··何が··わかる!」
反応した。
図星かそれに近いのだろう。
「わかりたくもない。俺はモテないし、他の人間よりも能力で劣っているのを自覚している。でもだからこそ努力する。考える。お前みたいに現実から逃げたりしない。」
「···だ··だ·まれ··········。」
異変が起きた。
邪気が急速に大きなものとなり、悪意が消えていく。
俺のスキルでしか感知できないかもしれないが、人間から魔族に移行したかのような変化。
限界点のようだ。
俺は何発目かのハートブレイクショットを打った。
ターナーの体が静止する。
急速に邪気が消え、膝から崩れる彼の顔には何の表情も浮かんでいなかった。




