74話 学校に行こう⑪
魔族のように変貌したターナーに近づいていく。
「タイガ!これって魔族だよね!?」
「パティ、生徒達のところに行って回復が必要なら支援してくれ。」
テンパるパティを落ち着かせるためにゆっくりとした口調で指示を出す。
「タイガがひとりでやる気?」
「ああ、その方がいい。」
パティは少し躊躇したが、素直に生徒達のところへ向かった。
「···ランク···Sだからって···なめる···な···。」
まだ理性はあるようだ。
魔族の血に支配されるのはそんなに先ではない気がするが。
「そう思うのならかかってこい。」
俺は挑発してみた。
「!」
再び氷柱が放たれた。
先程よりも激しい速度と数で俺を襲う。
直撃する。
「ぐわぁぁぁぁぁぁーっ!」
俺は痛がるふりをして叫び声をあげてみた。
まったく効いてないけどね。
ニヤリと口の両端をあげて笑うターナー。
「タイガさんっ!!」
後ろからテレジアの叫び声が聞こえてきた。
あ···また誤解される。
悪ふざけはこれくらいにしておこう。
「なーんてね。」
「は?」
ターナーが呆気にとられた瞬間に両手の警棒を離して踏み込んだ。
変貌前と変わらない体格のターナーは俺よりも10センチは背が低い。
足のスタンスを長めに取り、打ち下ろし気味の右ストレートを心臓の真上にぶちこむ。
ドッ!
内部に衝撃が浸透する。
ボクシングで言うハートブレイクショット。
心臓に衝撃を与えることで1秒程度の時間だが肉体が麻痺する。
「ぐっ···。」
返す左フックを脇腹に打ち込む。
ゴッ!
肋骨が折れた感触。
バックステップから再びハートブレイクショット!
クリーンヒットした。
ターナーが片膝をつく。
体が小刻みに震え、鼻血がつぅーと出ている。
予想が正しければ、そのうちターナーは内部から自滅する。そのための素手による攻撃だ。
「カ···ハァ····な···なぜ···だ··。なぜ··魔法···が···きか··ない···。」
「さぁな。実は効いてるかもしれないぞ。」
化物を見るような眼で見やがった。
お前の方が化物だろ?




