63話 閑話 ~Side ニーナ 刀工の喜び②~
タイガとの刀談義はおもしろい。
これまでは父親くらいとしか刀についての話はできなかった。
剣が主流のこの大陸では刀はマイナーすぎるのだ。
剣と刀の素材の違い、鍛造と鋳造、打ち手の技術。
会話の全てに自分が欲しかった答えが返ってきた。
私が打った刀を見せた。
一番最初にタイガが手にしたのは基本的な刀。
彼の体格では刀身が短い。
そう思っていると鞘から抜かずに重さだけを確かめるようにして掛け具に戻した。
やっぱりわかってる。
彼なら私の一番を選んでくれるのではないか?そんなことを考えていると、次の刀を選んでこう言ってきた。
「これを試してみて良いかな?」
思っていた通り、期待していたものを選んでくれた!
「うん!」
タイガが手にした大太刀は、玉鋼にミスリルとアダマンタイトを混合させた合金でできている。
自分の技術の全てをぶつけ、苦労を重ねて作り上げた自信作だ。
8割は玉鋼がベースとなっているが、合金にしたことで一段階上のしなやかさと強度を得ることが可能になった。
そして鋭さが増した刀身は仄かに青い色彩を纏う。
蒼龍。
そう名づけたのは斬撃の際に蒼い龍が敵を喰らうとイメージしたからだ。
刀ではなく大太刀となったのは合金のデメリットでコンパクトに成型することができなかったからだが、結果としてはそれがタイガという名手と出会うことになった。
それはもう運命というものだろう。
居合い抜きで青い稲光のように蒼龍を疾らせたタイガ。
試し斬りで直径20センチの丸太を断ち斬ったタイガ。
私は惚れ込んでしまった。
この男の剣士としての腕に。
そして···1人の男としても。




