58話 閑話 ~歓迎会⑥~
カフェの厨房で忙しく動き回るターニャ達を見つけた。
邪魔にならないタイミングで話しかけてみる。
「ターニャ、何か手伝おうか?」
「あ、タイガさん。こんばんは。今日はタイガさんの歓迎会って聞きました。お手伝いをしてもらう訳にはいきませんよぉ。」
「でも大変じゃないか?」
「大丈夫です。もう少ししたら料理をテーブルに並べるだけですし、ギルドマスターから何人かにお手伝いをしてもらえると聞いていますから。」
「そっか。何かあったら声をかけてね。」
「はい。ありがとうございます。」
微笑むターニャに手を振って厨房を出た。
「あっ!?タイガ、ここにいたんだ。」
声のする方を見るとニーナがいた。細長いトランクのようなケースを持っている。
「リルに呼ばれて来たよ。あと、蒼龍が仕上がったから持ってきた。」
「おお、マジで!」
「ふふっ、タイガの目が子供みたいに輝いてる。何かうれしいよ。」
近くにいるフェリやパティが「むむむ···」と声にならない唸り声をあげている。
なんだ?どうした?
「見ても良いかな?」
「うん。早く見て欲しい。」
テーブルにケースを置き、中の蒼龍を手に取る。
人が多いので鞘から出す訳にはいかないな···。
「おおっ!それがタイガの装備か?刀···いや、大太刀というのか?」
さすがにアッシュは刀の分類を知っているようだ。
「ああ。歓迎会までまだ時間があるからちょっと試し斬りをしてくる。」
「それなら俺も見たいぞ。」
「あ、私も!」
「もちろん私も行くぞ!」
·······結局、フェリ、リル、ニーナ、パティ達も見学をすることになった。
他にも、「おっ、なんだなんだ?」という感じでギャラリーがついてくる。
ホールから人が減るとターニャ達の給仕がはかどるのでちょうど良いのかもしれない。
「それで何を斬るんだ?」
「そうだな···。」
修練場に出るとアッシュがそんなことを聞くので、ギャラリーを見回す。
ヤバいっ!
奴と目を合わせるな!!
的な感じでギャラリーは俺の視線から目をそらす。
おっ!ラルフと目が合った。
じっと見る。
ラルフが見返してくる。
じっと見る。
ラルフが汗まみれになってくる。
じっと見る。
ラルフが意識を失いその場に倒れる。
胆力が足りないな、あいつは···。




