46話 異世界生活の始まり⑬
保管庫の奥の壁に何本かの刀がかけてあった。
「扱いやすそうなのを選んで。」
まず普通の刀を手にする。
軽い。
こちらの世界に来て身体能力が極端に上がってしまっていたので扱うには少し重量がなさすぎる。
抜刀せずに壁に戻す。
目線を並んだ刀に戻し、一番端にあった刀を手にする。
他の刀よりも太くて長い。
太刀ではない。
陸場で主に使用される刀とは違い、馬上での使用が目的とされている太刀というのがある。名前から間違った認識をされやすいが、使用目的から片手でも扱いやすいように実は刀よりも軽量なものとなる。
「大太刀か。」
ぴくんっとニーナが反応した。
顔にはうれしそうな笑顔を浮かぶ。
大太刀はその名のとおり長大な刀だ。主に野戦での使用のために作られた。
甲冑や馬ごと切り捨てるポテンシャルがあるので斬馬刀や野太刀とも言われている。
刃渡りは90センチほどだから長大と言っても俺の体格なら扱いやすい。
「これを試してみて良いかな?」
「うん!」
「それは蒼龍と名付けた大太刀よ。私の一番の自信作なの。」
外に出て試し斬りのために設けられたスペースに行く。
3人が距離を取ったのを確認して柄に手をやる。大太刀は反りが深く、刃を下に向けて持つ。
抜刀。
陽を浴びて刀身が仄かに青く光る。
なるほど、蒼龍か。
「キレイ···。」
フェリが思わずつぶやいた。
一般的な剣は刀身が鈍色だが、刀の部類は芸術品とされているほどに美しい輝きを放つ。
極限にまで研鑽されたそれは切れ味において世界最高峰の能力を発揮する。
一度、刀身を鞘に納める。
鍔がカキィンと涼やかにひびいた。
息を吸い、腹にためる。
ゆっくりと吐き出しながら摺足で右半身に構え、腰を落とした。
抜刀。
風を裂くように真一文字に大太刀を振るった。
青い線が稲光のように空気を両断する。
「「「!」」」
ゆっくりと鞘に納めてニーナを見る。
「すごいな、コレ。1000万で譲ってもらえないか?」




