44話 異世界生活の始まり⑪
ギルドから歩いて20分くらいのところにその武器屋はあった。
街中なのに店舗だけではなく、工房や住居らしき建物もある広い敷地。ギルドと同じくらいの規模があるのかもしれない。
「ここの店主は鍛治職人としても有名なの。まぁ、私の幼なじみなんだけどね。」
リルの幼なじみか。
鍛治職人と言うとむさいおっさんというイメージが先行するがイケメンだったりはしないよな。
店内に入るとちゃんとした正装をした渋いおじさんがいた。
おっさんじゃなく、おじさんだ。
このニュアンスの違いをわかってくれ。
「おや、リル様じゃないですか。お久しぶりです。」
渋い声だ。
将来はこんなおじさんになりたい。
「こんにちはティーンさん。今日はお客様を連れてきたの。ニーナはいる?」
「それはありがとうございます。社長をすぐに呼んでまいりますのでお待ちください。」
ニーナ?社長?
もしかして女性なのかな。
そんなことを考えていると、
「リルじゃん。ひさしぶりだね。」
おぉっ!すごいのきたぁ~
170センチくらいの女豹をイメージするような女性。
スリムグラマーなお姉さんだぁ。
今更だけど、異世界のレベルは高い。
ニーナをガン見してると後ろからの視線がなぜか痛い。
ああ、フェリさん。
やめて、瞳から軽蔑のビームを出さないで!
「それで、そこのタイガさんの武具を揃えたいってこと?」
リルが事情を説明すると、ニーナは値踏みをするような眼で俺を見てきた。足の爪先から首の辺りまでを観察している。
武器の適性を知るための視線だと感じた。骨格や筋肉の状態を見ているのだろう。
「手を見せてくれる?」
手のひらを上にして見せるとニーナはおもむろに両手で触りだした。皮ふの固さや豆の具合を撫でるようにして確認し、何度か頷いている。
近い···。
胸の膨らみが上から見えてしまう。
あ···またフェリからの視線が···努力して目線を反らすようにした。
「あんた、極東の出身?」
入念な身体チェック?の後にようやくニーナが口を開いた。
質問への回答が難しい。
異世界から来た!とは言えない。
「そんなところかな。曖昧な返答で申し訳ないけど、事情があって詳しい出身地は説明しづらい。」
できるだけ失礼のないように答えた。
「ふ~ん、これって刀を振ったことのある手だよね。」




