371話 そして、エージェントは伝説となる⑦
「え···え···タイガ!?」
「うそぉ!」
シェリルとマリアは、タイガの変身に目を丸くして、そんなありきたりなことしか言えなかった。
「····タイガさんって、テトリア様の生まれ変わりだったんですか!?」
ガイウスがリルに聞くが、リルも信じられないといった表情で見返してきた。
「タイガは···どう変わろうと、タイガだよ。」
そんな驚きの中で、フェリだけはすぐに我に帰り、祭壇へと駆けつける。
「タイガ!」
「フェリ、来てくれたのか?」
フルプレートなので表情はわからないが、声音はいつものタイガだ。
「うん。無事で良かった。それで···その格好は?」
「神のいたずら。」
「えっ!?」
「詳しいことは後だ。とりあえず、クリスティーヌを頼む。」
「う···うん、わかった。」
エクストラ·ヒールで回復をしたとは言え、出血による疲弊までは拭いされない。この世界の回復魔法は、傷は完治しても、疲労や体調までを完全なものにするわけではないのだ。
タイガは周囲を見渡しながら、一つの気配に注力した。はっきりとはしないが、ソート·ジャッジメントが何かに反応していた。
信者だけでなく、聖騎士も含めたほとんどの者は、タイガを英雄テトリアの再臨だと勘違いをして、平伏している。そんな中に、不敵に笑いながら、こちらをガン見しているデカイおっさんがいた。
「神アトレイク。あそこに不審な奴がいる。あれがあんたの言う、邪悪な存在なのか?」
『いや、違うな。しかし、あの者は人間ではないぞ。何らかの方法で気配を擬態しているが、魔族に近い。』
「そんなことまでわかるのか?」
『神だからな。ステータスバーでわかる。』
またそれか。
「ステータスバーには、何と書かれている?」
『職業に元人間とある。』
「···魔人か。」
魔族に近い元人間なら、魔人以外にないだろう。
『魔人?そんなものが存在するのか?』
「ぽっと出だ。最近、何人かの存在が確認された。」
『ふむ···世の中も変わったものだ。』
隠居したじいさんかよ。




