366話 そして、エージェントは伝説となる②
通路を走るタイガは、とにかく目立った。
血まみれの聖騎士団長をお姫様抱っこして、背中には聖女様が手足を巻きつけるようにしておぶさっている。
常人離れしたスピードで走る修道士姿の男は、教会の職員だらけの本館を駆け抜けた。風でフードが脱げてしまったこともあり、今や注目の的となっている。
「お···おい!あれはさっき連絡にあった、"なんでやねん"じゃないか!?」
「スキンヘッドに長身···どこかに隠れたと言われていたが、修道士に化けていたのか!」
「聖騎士団長が血まみれ···奴にやられたのか!」
「聖女様を拐おうとしているぞっ!"なんでやねん"を逃がすな!!」
だから、なんでやねんの使い方がおかしいっちゅーねん!
「タイガさん、その頭は···。」
クレアが、タイガの頭を見て聞いてきた。
「変装をするつもりで剃った。変だよな?」
「いいえ、かわいいですよ。」
クレアはそっと、タイガの頭をなでなでした。
かわいい?
いや···卑猥とか、言ってたやつもいるぞ。
まぁ、気にしないでおこう。
毛根は死んでないからな。またすぐに生えてくるだろ。
「いたぞっ!なんでやねんの使徒だ!!」
正面から、聖騎士達が駆けつけてきた。
「なんでやねんの使徒って、何ですか?」
クレアが純粋な疑問を投げつけてきた。
「さあ···こっちが聞きたい。それより、少し無茶をする。しっかりつかまってろ。」
「はいっ!きゃっ!!」
タイガはクレアの答えを聞く前に、横にあった窓を蹴破り、外に飛び出した。
下屋があることは、走りながら確認をしていた。高さは3メートル強。勾配屋根があるので、着地の衝撃は殺せるが、傾斜でバランスを崩さないようにする。
「あれが大聖堂です!」
斜め正面に、大きな教会をイメージさせる建物があった。
「わかった!」
タイガは屋根から飛び降りて、大聖堂まで加速した。




