349話 エージェントの長い1日⑤
ここは教会本部の本館建物の地下に位置する。
修道士となったラルフに案内をされ、タイガはその一室にいた。
「先ほどの司教様からの伝言だ。テトリア様の鎧を清掃する道具は、この部屋の隣の倉庫にある。それと···鎧を傷つけたり、動かしたりはするな。魔力が吸収され、死に至ることもあるらしい。」
「···呪いか何かですか?」
「詳しいことは知らない。」
そう言って、ラルフは部屋を出ていった。
ラルフがなぜこの部屋の場所を知っているのかについては、ここに来るまでに「前に清掃を手伝ったことがある。」という言葉を聞いていた。誰にでも入れるような部屋に、重要文化財的なテトリアの鎧を置いておくというのはどうなのか、と考えていた。しかし、下手に動かすと魔力を吸いとられると言うのであれば、盗難の心配はないのかもしれない。別の意味で···危険だから厳重な施錠が必要な気はするが。
「さて、どうしたものかな。」
ひとりになってから、タイガはつぶやいた。もちろん、清掃をする気などない。
『ほう···珍しい人間が来たものだ。この世界の者ではないな。』
「······················。」
頭に直接響いてくるような声がした。
いや···気がした。
『聞こえているのであろう?』
「··························。」
気のせいだろう。
『そんな眉間にシワを寄せながら、気がつかないふりなどするでない。』
「·························。」
なんだ···霊感などないぞ。
まさか、この世界に来てから変な能力でも身についたのか?
無視だ。
『ふむ、何やら誤解をされているようだな。私は幽霊の類いではないのだがな。』
「······················。」
無視だ。
ひたすら無視しよう。
『タイガ···ショタと言うのか?そろそろ現実を受け入れて、対話をしないか?』
「ショタじゃない。シオタだ。」
あ···ついツッコんでしまった···。
『やはり、聞こえていたのだな。』
「··························。」
『·············おい。』
やばい···変な奴にからまれたぞ···。
誰か···誰かレビューを下さい!




