304話 依頼者ソウリュウ⑥
「教会に自分を売り込みたいと···しかし、ツテもないのでは、それは難しいのでは?」
「ツテはありますよ。」
「ほう。それはどなたですか?」
話の方向性として、筋の通ったものにしておく方が良いだろう。印象からして、冒険者ギルドは教会と何らかの契約を交わしている訳ではなく、ただ、関係値を悪いものにはしたくないだけだと感じる。ついでに、理がこちらにあることをわからせておいて損はない。
「聖女様の姉君、クリスティーヌ·ベーブス聖騎士団長です。」
「「「!」」」
三人とも呆気に取られてしまったようだ。
「どうかされましたか?」
「あ···いや···あなたは、もしかして···その···有名な貴族の方なのですか?」
「なぜそう思うのですか?」
「聖騎士団長のベーブス様は、気位が高いので有名な方です。そんな方とお知り合いということは、かなり高名な家柄の方ではないかと···。」
「爵位は持っていますが、家柄は大したものではありません。それに、彼女···聖騎士団長の気位が高く見えるのは、その役職故ですよ。誇りは高いが、真面目で努力家な性格ですから。」
「爵位···。」
嘘は何一つ言っていない。
クリスティーヌと親交が深いような言い方はしているが、虚偽で裁かれるような内容でもない。勝手に勘違いをしたというレベルの心理的話法だ。
ギルマスにしてみれば、聖騎士団長の知人で、かつ爵位を持つ俺に、管轄下の冒険者達がいきなりケンカをふっかけて、模擬戦に強制的に参加をさせたという不敬が、自分の進退にどう影響を及ぼすのか、不安になったことだろう。
かなり遠い目をしだした。
「ある事案で、聖女クレア様を含め、お二人にはお世話になりました。その恩返しに助力をしたいと考えているのです。」
「せっ···聖女様ともお知り合いなんですかっ!」
先程とは真逆に真っ青になったタコは、かすれ声で哀れな声を出した。なんだ、すごいんだなクレア。聖女様の肩書きは威力抜群だぞ。
「まぁ、クリスティーヌと同じ程度の親交ですけどね。」
ああ、口から泡を吐きそうだぞ。このタコ。




