257話 帰路⑧
「襲ってきた時の状況は、どんな感じだったんですか?」
「私は外で寝ていたのですが、突然、地響きが続いて目を覚ますと、あの位置からゴーレムが迫ってきていました。教会騎士がすぐに私達に叫び、逃げるように指示を出してきたのです。私は馬車の中にいたサキナ·ダレシア、クレア·ベーブを起こして、一緒に走って逃げました。」
咄嗟の行動としてはおかしくはない。ただ、教会騎士の対応が迅速すぎた。
夜営を行う時、普通は交代で見張りにつく。30メートルという短い距離で地響きが鳴り、夜営をしている地点までゴーレムが迫ってくる時間は、1分に満たない程度の時間だろう。それを冷静に状況を見極めて、適切な対応ができるというのは、相当な熟練度があったとしても難しい。特に夜営の中では、突然の敵の発生と、その戦力差に冷静さを欠くのが普通といえる。それは俺でも同じだろう。
教会騎士の迅速な対応は、もともと予定をされていたものではないだろうか。現場に来て状況を見たことで、さらに不信感が募っていった。
「教会騎士の二人は若い方ですか?」
「はい。2人ともまだ20代半ばといった所でした。」
「そうですか。ジェシー達冒険者組とアンジェリカ達2人は、50メートル四方を探索してくれないか?ケリーは馬車の調査を頼む。」
「わかりました。」
因みにセイル、ガイウス、スレイドは、自分達の馬車の警護で残っている。他のメンバーに指示を出した俺はケリーに目で合図をした。
5分程後。
突然の地鳴りが響き渡った。
最初にゴーレムが発生した位置とは逆側、馬車を隔てて反対のデュエル·ソルバ達のいる方角だった。
「きゃああああああーっ!」
シスターの1人である、クレア·ベーブスの悲鳴だ。
俺はすぐに3人の元に向かった。
二体のゴーレムが現れ、3人に襲いかかろうとしている。
「う···嘘よっ、なんで私達を襲うの!まさか···口封じを···。」
もう1人のシスターであるサキナ·ダレシアが、向かってくるゴーレムに恐怖して口走った言葉を俺は聞き逃さなかった。
「く···口封じって、何のことだ!?」
デュエル·ソルバはサキナとゴーレムを交互に見ながらも、予想外の発言に戸惑いを見せている。
地面にへたりこんだサキナ·ダレシアは、腰を抜かしたらしく、腕の力だけで必死に逃げようとしていた。




