251話 帰路②
夜営の準備が終わるまで、弱火でカレーを煮込み続けた。
つけ合わせのパンは、フランスパンのようなものを適度な大きさに切り、皿に分けておく。
後片付けが簡単に済むように、余計な洗い物は増やさないようにした。
「クンクン···すごく良いにおいがする。」
声がした方を見ると、マルモアが目をつむって、鼻をひくひくとさせている。
まつげ長いな。
そんなことを考えていると、夜営を終えた他のメンバーも集まってきた。
「すごく良い香りがします。もしかして、これがカレーですか?」
アンジェリカが興味津々といった顔で鍋の中を覗いている。
「なんか···嫌な色をしてますね。」
スレイドが余計なことを言う。
「大丈夫だ。もう少し赤い色になるから。」
「え?煮込んだら赤くなるんですか?」
「そうだよ。」
お前の分だけだがな。
「へ~、不思議ですね。」
不思議じゃないぞ。
デスソースが入るからな。
「タイガさ~ん、お腹すいたよぉ。」
セイルがお腹を押さえて催促を始めた。
「じゃあ、すぐに夕食にするから手伝ってくれるか?」
「うん、手伝う。」
「あの···俺のだけなんか色が違うんですけど···。」
スレイドがひきつった顔をしながら聞いてきた。
「色がどうのと言っていたから、風味を変えておいた。嫌なら食べなくてもいいぞ。」
「あ、いや···食べます。腹が減っているので。」
さすがにお腹を下されても嫌なので、辛味は抑えておいた。
激辛3レベルにだが。
「いっただきま~す。」
みんながカレーを一口食べ、初めての味に驚く。
「変わった風味だね。でも癖になりそう。」
「これだけだと少し辛いですけど、パンにつけるとちょうど良いですね。スパイスが効いていて体が暖まります。」
大好評という感じではないが、概ね満足をしてくれているようだ。
一人だけ咳き込んでいる奴がいるが、気のせいだろう。
ほうっておいて、俺も久しぶりのカレーを堪能することにした。




