248話 冒険者ギルド⑰
「この粉をクミンや胡椒、ローリエなんかと調合すると、ガラムマサラというスパイスができるんだ。」
ローリエやクミン、胡椒に関しては、住んでいる街で手に入れる事ができるので、今回は買わない。
「ガラムマサラ···初めて聞きました。」
「ガラムマサラを使うと、カレーという香り豊かな料理を作ることができるんだよ。帰る道中で、夜営をする機会があれば作ろうかな。」
こちらの世界ではカレーは見かけない。
この地域にないだけなのかもしれないが、久しぶりに食べたくなったのだ。
既に粉に加工をされているので、瓶詰めで密封がされている。これだと1ヶ月以内に香りは抜けてしまうだろう。本来は料理の直前にスパイスを煎って砕くのが正しい使い方だ。ガラムマサラは辛味よりも香りの調味料と言える。
「カレーですか?想像がつかないですけど、食べてみたいです。」
アンジェリカは笑顔で答えた。
カレーが好評なら、ステーキハウスの次に店舗を立ち上げても良いかもしれないな。
細々した買い物を済ませた後に、少し遅い昼食を取ることにした。
同行する冒険者達が街を出る準備をしている間に、あまり荷物にならない食料などを買い込んだのだ。
「何を食べますか?」
「王都で流行っている物とかある?」
スレイドからの問いかけを王都在住の他の者達に振ってみた。
せっかくなので、ここでしか食べれないような物が良い。
「そうですね···ケバブが最近流行ってますね。」
ケリーが答えてくれたが、ケバブって···聞きなれた名前だ。
「···ケバブって肉の串焼きのあれ?」
「そう、あれです。鶏肉とか、豚肉のもありますよ。」
こっちにもあっておかしくはないけど、名前が一緒なんだ。
わかりやすいから良いか。
「ヨーグルトがかかってるのが美味しいんです。」
イスケンデル·ケバブだ。
トルコ料理の一種で、とある地方の名物料理である。ピタパンと呼ばれる平たいパンの上に、焼いた羊肉が乗り、香辛料の効いたトマトソースと、溶かしバター、ヨーグルトで食べる。
「ヨーグルトって、肉にかけていいものなんですか?」
スレイドだけが渋っていたが、食わず嫌いなだけだろう。
「異論がなければそれにしよう。お腹すいたし。」
スレイドの問いかけは完全に無視された。




