219話 王都での謀略⑯
「なるほどな。言っていることの理屈は通っている。それで、謁見での模擬戦に深慮があるというのはどう意味かな?」
「スレイヤーとしての私の実力を見せたかったのではありませんか?上位貴族と、騎士団員達に。」
国王がフゥとため息を吐く。
「強いだけではなく、頭もキレるのだな。すけこましのような衣装をつけて謁見に来たから、もっとバカな男だと思ったが···噂通りか。」
いやいや、あの衣装はおたくの城にいるメイドちゃん達の趣味なんだが···。
「スレイヤーの存在意義を語られていたのですから、気づきますよ。わざとそういった言い回しをされたと感じていますが。」
「うむ···。」
「陛下、ここからは私が説明しましょう。」
大公閣下の出番のようだ。
「これから話すことは、ここにいる全員が他言無用でいるようにな。」
その言い方だと信頼に足るメンバーを揃えているらしい。とりあえず、ソート·ジャッジメントも反応はしないし、国王や大公への忠誠は高いのだろう。
「まず、同じギルドという統治機関を持っていても、冒険者とは違い、スレイヤーの報酬は国から出ておる。」
まぁ、そうだな。
冒険者は依頼主が報酬を出す。基本的には民間人からの依頼が多く、国からの補助はかなり少ないと聞いている。
「スレイヤーギルドの年間予算は騎士団の運営費とほぼ同額。これは国家予算の約5%に相当する。このことを経済相から再三に渡って指摘されてきたのだ。」
「バレック公爵ですね?」
「そうだ。バレックはスレイヤーギルドの国家予算からの切り離しを幾度となく要求してきた。国防を担う騎士団への予算を7%まで切り上げて、魔物や魔族への対応も専任の部隊を作って対応させろとな。」
無茶な話だった。
騎士は対人戦に優れてはいるが、魔物や魔族は強力だ。特異なスキルや常人離れした戦闘能力を持つ者でなければ対応は難しい。アッシュやスレイドのように、個人の力でスレイヤーとしてやっていける者は、謁見での模擬戦を見る限り今の騎士団にはいないだろう。スレイヤーに必要なのは規律や組織ではなく、個々の卓越した能力と言えるのだ。
「そうなった際のスレイヤーギルドはどうなると?」
「有志による資金提供をすれば良いと抜かしとった。」
国王が苦みばしった顔で吐き捨てる。
「それは危険ですね。有志による資金提供となれば、言わば私兵に近い。それだけの武力を持てば、クーデターすら起こせる。」
「そうだ。その事を指摘し、バレックの立案は陛下と私で廃案に追いこんだ。」
「それでスレイヤーと騎士団員との力量の差を、謁見で立証させたと言うことですか?」
「そう言うことになる。」




