212話 王都での謀略⑨
「ありがとうございます。」
アンジェリカは嬉しそうだ。
俺はクルドの方をさりげなく見た。まだ同じ位置にいる。
さすがに一対一の闘いでは、介入するには目立ちすぎるので、何もしてはこなかった。
少しちょっかいを出しやすい状況を作ってみることにする。
「提案なんだけど、複数名の連携を見てみたい。魔法ありで、何人かと同時に模擬戦をすることはできないかな?」
「それなら次は私たちと相手をしてもらえますか?」
そう言って3人が前に出てきて、ミルトン、シルビア、バーニーとそれぞれが名乗った。
「普段からチームを組んでるから連携には自信があります。簡単には敗けませんよ。」
「わかった。魔法は最大火力で放ってもらって良いからね。」
「了解です。」
3人が等間隔で間合いを取り始めた。
2人が前衛で、剣とダガー。1人は魔法士のようで後衛につく。
観戦用のスタンドの方を見ると、クルドもスレイドも姿を消していた。何かを仕掛けるために移動をしたのかもしれない。
そちらの警戒は強めた方が良かった。
自分自身への攻撃ならともかく、ワルキューレの3人にはケガをさせられない。
純粋に模擬戦に挑む彼女達を巻き込むことは本意ではないが、悪い虫は早めに駆除するにこしたことはないのだ。昨夜にある物を購入できたので、捕まえて口を割らせるのも難しくはないだろうしな。
そんなことを考えながら3人との模擬戦に挑んだ。
「行きます!」
後衛のバーニーが開戦の合図を行い、両手で魔法を展開した。しっかりと魔方陣が組まれ、魔力が収束する。
「コンバージェンシー·フレイム!」
放たれた魔法は、炎の二連撃。
互いをねじりこむように回転させながら俺に向かってきた。
弾丸のようなスピードで空気を切り裂く炎。魔法の周囲は陽炎のように空間をぼやけさせている。
最大火力で撃ってこいとは言ったけど、俺以外の者が直撃したら間違いなく死ぬよね、これ。ワルキューレにも、ミシェルと同類がいたか···。
「マジック·ブレイク!」
俺は片手を掲げて、バーニーの魔法を受けた。瞬時に炎が消滅する。
中二病的に技名を叫んでみた。
昔の憧れを体現してみたかったからなのだが、やはり恥ずかしい。
次回からは黙ってやろうと静かに決意した。




